青い空はポケットの中に - 「ドラえもん映画祭」(神保町シアター)8日目レポート

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「ドラえもん映画祭」(神保町シアター)8日目レポート

映画ドラえもん30周年を記念し、神保町シアターにて2月の毎週土・日曜日に開催されている「ドラえもん映画祭」も2月28日でフィナーレを迎えます。8日目のラインナップは『のび太の新魔界大冒険 ~7人の魔法使い~』『のび太と緑の巨人伝』『新・のび太の宇宙開拓史』『のび太の日本誕生』(追加上映)、そしてシークレット上映の5本です。
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当日はあいにくの雨模様でしたが、7日目よりも気持ち早めに家を出ました。ところが雨のため電車が遅延気味で、2回の乗り換えで本来乗るべき列車を2本とも乗り過ごしてしまいます。それと個人的な話になりますが、折からの天候不良と急激な気温変化のため体調を崩してしまい、途中駅で休んでいたため到着予定時刻が大幅に遅れ、神保町シアターに到着したのは午前8時近くになってしまいました。普段はいたって健康で別に虚弱体質ではないのですが、前日に早朝から並んだ疲れと急激な気温変化が祟ったのでしょう。

最終日はシークレット上映の人気が予想されたため、7日目よりも客足は明らかに伸びていたように思います。いつもの枚数確認は9時45分頃に行われましたが、整理番号を確認するまでもなく、多くのファンの目的はシークレット上映であることは容易に予想できました。

私が確認を受けた時点ではシークレット上映が70番と好調な滑り出しで、『のび太の日本誕生』が30番台といったところです。しかしながら、『のび太の新魔界大冒険』『のび太と緑の巨人伝』『新・のび太の宇宙開拓史』は未だ1桁台という有様でした。私を含め皆シークレット上映狙いだということは理解していましたが、それにしても旧作とわさドラとの人気差に愕然とするとともに、少々悲しくなりました。

10時15分頃に無事にチケットを購入。整理番号は69番です。寒かったので一旦帰宅した後、20時の開場に合わせて再び神保町シアターに舞い戻ってきました。上映作品は当然ながら上映が開始されるその時まで分かりませんが、藤子プロ公式サイトの「ドラえもん映画祭」のページでシークレット上映のヒントが「感動の…」と記載されていたため、大方の予想がついているファンの方も多かったと思われます。前日に神保町シアターで上映時間が20:10~22:22と記載されていたのも大きなヒントになりましたね。

さて、皆さんが気になるシークレット上映のラインナップは『帰ってきたドラえもん』『のび太の結婚前夜』『おばあちゃんの思い出』『がんばれ!ジャイアン!!』『ぼくの生まれた日』の5本立て。1998年~2002年にかけて渡辺歩監督によって映画化されたいわゆる「感動短編」5部作を一挙上映した形になります。観客は、前日の『のび太の魔界大冒険』の時よりも若い女性の姿が多かったように見受けられました。

以下、例によって上映作品のちょっとした感想メモです。

▼『帰ってきたドラえもん』(1998年) 監督:渡辺歩
・プリント状態:★★★★☆
・上映サイズ:ビスタサイズ(5:3)
『のび太の南海大冒険』の同時上映作品で感動短編の第1作。原作の「さようならドラえもん」(てんとう虫コミックス第6巻)と「帰ってきたドラえもん」(同7巻)の映画化で、感動の名作としても名高いのですが、個人的評価は辛めです。

端的に言えば、あの作品は「省略の美学」が生かされるべきだと考えています。原作は本来ならば物理的制約となり得るページ数を逆手に取り、ドラえもんが帰る理由は一切描かれませんし、ドラえもんはいつの間にか未来に帰ってしまいます。「帰ってきたドラえもん」ではウソ800によってドラえもんは現代に戻ってきたわけですが、戻ってきたというよりは「いつの間にか部屋にいた」ようか描かれ方です。2つのエピソードは共にのび太とドラえもんの行動と心情変化に視点が置かれており、ジャイアン、スネ夫、しずちゃん、そしてパパ、ママに対しては距離が置かれているのが特徴です。

映画版ではドラえもんが帰る場面、帰る前にドラえもんがのび太に発する一言、未来の世界でのドラえもんとドラミちゃんの会話、そして各キャラクターのその後の反応が逐一描かれてはいますが、それらのシーンは一切は必要ないというのが私の見解です。だからのび太がジャイアンに喧嘩で勝つシーンも、無理にギャグ調の演出を挿入してしまったがために陳腐に見えてしまいました。

散々な書き方をしてしまいましたが、ドラえもんの箱を机の引き出しに入れた点は良かったと思います。机の引き出しから現れて帰っていったドラえもんとの対比構造が、ドラえもんの代理であるドラえもんの箱を机の引き出しに入れることによって明確なものとなるからです。また、冒頭で満開の桜を映し出したショットは大変美しく、そして散りゆく桜とのび太の部屋の机にある花瓶の花をのび太とドラえもんの別れに、ウソ800によって再び満開になった桜をドラえもんとの再会のメタファーにするという演出も評価できます。

▼『のび太の結婚前夜』(1999年) 監督:渡辺歩
・プリント状態:★★★★☆
・上映サイズ:ビスタサイズ(5:3)
この歳になって思い直すところが多かった作品です。原作はてんとう虫コミックス第25巻「のび太の結婚前夜」。初めて劇場で見たドラえもん映画だけに思い出深く、小学6年生だった当時を思い返しながら見ていました。ネコの飼い主が自分と同じ名前で、一緒に見に行った友人にからかわれたような些細な記憶まで蘇ってきました。

同時上映だった『のび太の宇宙漂流記』がワーストに近いほどつまらない作品で、ドラえもんズにもさほど興味がなかった私は『のび太の結婚前夜』だけは楽しんで見た記憶があるものの、子供には分からない描写が多かったのだと再び見て思い知らされる結果となりました。

私には結婚の経験はありませんが、しずかちゃんが何故直前になって「お嫁に行くのをやめる」と言い出したのか、そしてそれに対するしずかちゃんのパパが発する言葉のひとつひとつの重みが、今になってやっと分かってきたような気がしました。しずかちゃんのパパが大人になったしずかちゃんに掛ける言葉は『ドラえもん』史上屈指の名言として有名ですが、子供の頃は大して理解していなかったのだなと思います。今も理解できているかは分かりませんが……。

映画版では、未来ののび太たちが完全に「大人」の言動になっているというのも、大人になってみないと分からない感覚です。渡辺歩氏は人物の細やかな機微を描かせるとやはり上手いと舌を巻いてしまいました。大人ののび太は小学5年生ののび太と同じ小原乃梨子さんが演じています。実際に声を聴くとやはり無理があると感じてしまったものの、敢えて小原さんを起用したことは評価しようと思います。

▼『おばあちゃんの思い出』(2000年) 監督:渡辺歩
・プリント状態:★★★★☆
・上映サイズ:ビスタサイズ(5:3)
『のび太の太陽王伝説』の同時上映作品。これも感動の名作として名高い「おばあちゃんの思い出」(てんとう虫コミックス第4巻)の映画化ですね。この作品は自己の体験に投影しやすいのか、多くの観客からすすり泣く声が聞こえてきました。

昭和40年代をモチーフにした懐かしい風景も見どころ。駄菓子屋、駅前の商店街、幟旗と祠など、90年代前半に幼少期を生きた自分にも辛うじて記憶にある風景です。今は完全に廃れてしまいましたが、私が小学生の頃まで老婦人が経営する駄菓子屋は各地に点在しており、私も何度も訪れていましたし、街のおもちゃ屋も商店街には健在でした。

ただ、映画版には決定的に評価できない点があります。それはおばあちゃんを泣かせたこと。この作品の感動を呼ぶ点は、おばあちゃんはあくまでおばあちゃんであるのに、小学生ののび太を疑いなく受け入れるという意外性ではないかと思います。しかし、おばあちゃんに涙を流させてしまうことによっておばあちゃんと小学生ののび太との出会いが自明の出来事に感じられてしまうだけでなく、おばあちゃんが小学生ののび太と同じ側の存在として了解されてしまう危険性すら帯びてしまいます。

渡辺歩氏がそこを理解できなかった点が残念です。わさドラ版は特筆するほど良い出来ではなかったと思いますが、おばあちゃんを泣かせることはしなかったはずです。現時点では、(何度かアニメ化された)大山ドラのテレビ放送版が一番「泣ける」作品に仕上がっていると思います。

▼『がんばれ!ジャイアン!!』(2001年) 監督:渡辺歩
・プリント状態:★★★★☆
・上映サイズ:ビスタサイズ(5:3)
同時上映は『のび太と翼の勇者たち』。異色の人情話で、原作の「泣くなジャイ子よ」(てんとう虫コミックス40巻)と「ジャイ子の新作まんが」(同44巻)を下敷きにしたオリジナルストーリーです。

文字通りジャイアンを主役に据え、ドラえもん&のび太を一歩引いた立場で描くという視点が斬新です。名バイプレイヤーとして名を馳せてきたたてかべ和也さんによれば、この映画が唯一の主演作品とのこと(NU49号のインタビュー記事より)。『男はつらいよ』みたく、ジャイアンの人情に厚いキャラとしての一面が特に強調されています。

ジャイアンだけでなく、ジャイアンの妹・ジャイ子も実質主役に近い扱いを受けています。のび太の本来の結婚相手としてガサツで乱暴なキャラクターとして原作第1話から登場し、のび太としずちゃんが結婚する未来に変わったことによって実質的に役目を終えたジャイ子は、数年のブランクの後、漫画家志望で少女らしさを強調されたキャラクターとして再登場を果たします。ジャイ子は藤子・F・不二雄先生によって救済されたキャラクターでもあるのです。映画版では原作や普段の大山ドラよりも目が大きく描かれ、より少女らしさが強調されています。

個人的には「団地」の描写を高く評価します。団地をはじめとする風景のディテールの細かさには唸ってしまいました。もともと懐かしい情景描写に定評のある渡辺歩氏の真骨頂と言えるでしょう。他の感動短編に比べてギャグ色が強めで、感動話が続いた後だけに観客が過剰なまでに笑い声を上げていたのが印象的でした。

▼『ぼくの生まれた日』(2002年) 監督:渡辺歩
・プリント状態:★★★★☆
・上映サイズ:ビスタサイズ(5:3)
『のび太とロボット王国』の同時上映作品で、原作はてんとう虫コミックス第2巻「ぼくの生まれた日」。感動短編5部作のうち、作品として一番出来が良かったのはこの映画版です。特に力が入れられている背景美術は、何度見ても素晴らしいと言えるくらいの見どころとなっています。

昭和モダンな洋風建築の病院、ポンポン船、建設中の高速道路や高層ビル、河川敷が区画整理される前の下町……眺めているだけで懐かしさで胸が一杯になってしまうような風景に満ちあふれています。「ノスタルジー過剰」な渡辺歩氏の情景描写がここでひとつの極点に達していると言うことができるでしょう。ある意味原作通りに、のび太が生まれた年である昭和39年当時の東京を忠実に描ききっているのであろうと思われます。

個人的にはムラが多いと感じる彼の物語描写や人物描写も、この作品では過不足なくまとめられていて、家族やドラえもんとの絆もほのかな感動を呼び起こします。そして、ラストのエレベーターボタンでのび太、パパ、ママ、そしてドラえもんが夕日とのび太が植えた木をバックに浮かんでいるショットは、感動短編の最終作を飾るにふさわしい美しさを感じさせてくれます。



渡辺歩監督の感動短編5本については、リアルタイムで全て通過しただけに思い入れは複雑です。渡辺歩というアニメーション作家に対する評価としても、歯痒い感情を抱いているというのが正直なところ。

また、どの作品も泣かないだろうなと思って見たらやはり泣くことはありませんでした。見る前は、その理由を泣いたときの言い訳にするつもりだったのですが……。

その理由としては、渡辺歩の作家性なのか、それとも2000年代のアニメに顕著な傾向なのか、劇中で展開される演出が自明のものとして了解されてしまっているがために泣かなかったのだろうと思います。ひどく突き放した言い方をすれば、どれだけキャラクターを泣かせても、「はい、そうですか」としか見えてこないのです。それだけ、最近のアニメーションの演出が私の肌感覚に刷り込まれてしまっているということなのでしょう。

6日目の『のび太と鉄人兵団』で、私は何故だか分からないけれど涙を流したと書きました。この、「不意を突かされた」ような感覚が涙を流させたのだろうと考えています。あの時感じたのは、涙は「悲しい」とか「嬉しい」といった感情に先立って表出する生理現象だということです。自分が涙を流していると実感できたときに初めて、私は悲しんでいると理解することができました。

『のび太と鉄人兵団』は小学生の時に見た記憶がほとんどありません。そのため、芝山努監督のストーリーテリングの手法、そして80年代アニメに特有のテンポも私にとっては自明の存在ではないために「不意を突かされて」思わず涙を流してしまったのだろうと思います。

当たり前の話といえばそうですが、私は普段はドライで創作物を受容して泣くという経験がほとんどないので、今まで忘れていた根源的な感覚を呼び覚ましてくれたような気がしてこのような書き方になってしまいました。要は涙は反射的な感覚だということですね。幼少児に転んで泣いた時もそうですが、痛さよりも先に涙が出てきたような記憶がありますし。

さて、観客はいつにも増して若い女性の姿が多かったと先に述べましたが、もしかしたら泣きたくて足を運んだ人もいたのではないかとふと思いました(偏見かもしれませんが)。私の近くに座っていた人などは『帰ってきたドラえもん』のタイトルが出た時点で「もう泣きそう……」と漏らしていたのが耳に入ってきました。彼女らにとっては、もはや自明のものとして理解されている映像こそが泣く要素となりうるのでしょう。私は泣こうと思って泣くことができないため、こうした感覚は理解出来ないのですが、涙ですら重要なカタルシスとなり得る現代においてはごく当たり前の感覚なのかもしれません。



上映後は劇場が拍手喝采に包まれ、感動のフィナーレとなりました。毎週朝早く並んで当日券を手に入れるのは大変でしたが、本当に行って良かったと思います。リアルタイムで通過した感動短編を一気に見直して、新たな発見や思い直すところもありました。そして笑いと涙に包まれた劇場空間を共有できたことが何よりの思い出です。

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