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映画『バットマン ビギンズ』『ダークナイト』レビュー

早稲田松竹で見てきました。毎月1日は「映画サービスデー」で、一律800円で見ることができます。それに話題作2本立てということもあって館内はほぼ満席。2作合わせて約5時間もの大作なので、上映が終了したあと時計を見たら22時近くになっていました。

『バットマン ビギンズ』(クリストファー・ノーラン、2005年)は、主人公ブルース・ウェインが如何にしてバットマンになったのかを描いています。『バットマン』シリーズの実写映画版は、怪作『メメント』(2000年)で知られるクリストファー・ノーランが監督になってからダークでシリアスな作風に変化したものの、基本的にはハリウッドにおける大作ヒーロー映画としての文法を大きく逸脱することはなく、”アンチヒーロー的要素を併せ持った”ヒーロー映画として万人が楽しむことができる作品に仕上がっています。また、同一性の排除と冷徹なまでの視線、そして執拗なまでのメタ的視点によって、クリストファー・ノーランらしい映画にもなっていると思います。

まあ、ハリウッドの制約として、次回作の製作がほぼ前提事項となっているシリーズものでも、興行収入如何によっては第1作限りで打ち切られてしまうことも十分考えられます。よって、シリーズものあるいは三部作ものの第1作は、得てしてそれだけでも独立した作品と見なしうる、あまり冒険しない作風になりがちです。

『スター・ウォーズ』シリーズ(EPIV・V・VI)でも、『スパイダーマン』シリーズでも、三部作の2作目が最高傑作と評されることが多いのは、その作品がそもそも前作のヒットを前提としているために、潤沢な製作資金をはじめとする様々なビジネス的特権が得られ、前作以上に監督に与えられた自由度が高く、映画監督としての作家性を存分に発揮できる環境にあるという、両者の相乗効果が生んだハリウッドという巨大映画産業の特殊性によるところが大きいでしょう。そして第3作が成功するか否かは、これまたシリーズ・作品によってガラッと評価が変わってしまうのが面白いところです。

あとは、悪役のラーズ・アル・グール(正確にはその影武者)役に渡辺謙氏が出演しています。私は公開時に話題になったことをすっかり忘れてしまい、クレジットを見るまで気付きませんでした。スキンヘッドが特徴的な敵組織のボスで、東洋趣味的な武術や「忍者」があちこち登場しますが、まあその描写が無邪気なハリウッド的偏見に満ちていることはもはやご愛嬌ということで。

結論から言うと、物語としての強度や映画としての完成度は『~ビギンズ』の続編である『ダークナイト』の方が高いと私は判断しました。

『ダークナイト』(クリストファー・ノーラン、2008年)は、同年のアカデミー賞を総なめにするなど公開時から高評価だったわけですが、なるほど王道的なアメコミヒーロー映画に対するメタ的な視点を獲得しつつ、どれだけそこから逸脱できるかということに果敢にチャレンジしているように感じられました。

前作ではやや未来都市の趣もあった舞台・ゴッサムシティも、本作ではシカゴでのロケを中心に据えることでSF的な要素は薄められ、犯罪と腐敗で荒廃しつつある現代都市として描かれています。

また、ダークでシリアスな世界観もより徹底して推し進められ、物語からカタルシスを極力排除しようと試みています。しかしながら活劇としてのスペクタクルの持続性は前作以上に高いため、観客は画面上でハラハラドキドキしつつも、なかなか物語的に救済されないもどかしさを味わうことになるのです。

「悪」に対する描写も徹底され、最大の敵であるジョーカーは、無差別テロや殺人を犯すことで、市民や街を恐怖と混乱に陥れることそのものを楽しむ極悪非道の狂人として描かれています。しかも彼は異形のクリーチャーでも特殊能力をもった超人でもなく、ピエロのメイクを施した”普通”の人間です。しかしながら彼は観客の潜在的良心を逆撫でする言動や行動を続け、ついにはバットマンまでもが追い詰められる事態になるまで物語を圧迫し続けます。

「悪」に対して本作では「正義」という語が執拗に反復されます。「正義」と「悪」という二項対立を導入しつつも、それを二者の狭間で巧みに翻弄してみせる構成は見事です。

バットマンは一部の協力者を除いて市民や警察からは敵視され続ける存在であり、その時点でアンチヒーロー的側面を持つことになりますが、さらに本作では悪役ジョーカーと自らに通底する側面をバットマン自身が感じ取ったり、味方と思われた敏腕地方検事ハービー・デントがいとも簡単にトゥー・フェイスなる悪の存在へと変貌してしまったりすることで、バットマン自身の存在理由を問い直さなければならなくなります。したがってバットマン自身のアイデンティティも揺るがされることになっていくのです。

そもそもバットマン自身の悪と対峙する手法も、決して劇中の登場人物、あるいはスクリーンの向こう側の観客の共感を得られるとは必ずしも言い難い、アンチヒーローの典型的描写がなされているのが特徴です。「正義」/「悪」とは何かという至極普遍的な主題を参照しつつも、それだけでは割り切れない「何か」を描いているのが魅力のひとつだと思います。

結末も、同一あるいは類似シーンの反復を避けることによって観客が即座に判断することを困難にしています。と同時に先程も述べたように、カタルシスや救済も物語からできるだけ排除されています。排除されているといっても、大作ハリウッド映画の文法をギリギリ違反しない限りにおいて物語的救済は描かれてはいますが。ゆえに明確なハッピーエンドではありませんが、当然バッドエンドでもありません。明確なバッドエンドが描かれてしまった時点で、それは世界中の観客に受容されることを前提とした大作ハリウッド映画の文脈から逸脱し、単なるカルト映画と呼ばれることになってしまいます。

ただ、本作は「正義」と「悪」の存在を前提にしたヒーローもののアメコミが原作なわけで、そこからすれば極めてヘヴィな結末だと言えると思います。本作が「アメコミを超えた」と評される所以はここにあると思います。ちなみにラストの描写が特に斬新かといえばそうでもなく、私は『ターミネーター』シリーズのハードボイルドさに共通するものを感じました。ま、詳しくはご覧になってください。

あとは、この映画はたぶん経営組織論とか、人文系では社会学とか心理学を専攻している人が見ると非常に興味深いのではないでしょうか。私も観ていて、「こういう状況下において人はこう動く」ということが常に意識されて作られた映画であると感じました。

私は門外漢なので詳しくは分かりませんが、ネット上で見かけたあるレビューには「この映画がゲーム理論を念頭に置いていることは明白」と述べられていました。ゲーム理論か…なるほどな、と。たしかに、一定の状況下である目的に向けて行動する個人または集団の行動を数学的に分析するゲーム理論が念頭にあるのはほぼ間違いないと思います。ゲーム理論は私もさわりだけは理解しておきたいと思っているのですが、長文が苦手な私でも理解できそうな薄くて分かりやすい本が見つかりません(数学も苦手ですがアレルギーではありません…一応元理系なので)。どなたか適当な入門書があったら教えてください。

と、まあ初見での簡単なレビューはこんなところにしておきます。

『バットマン ビギンズ』『ダークナイト』は早稲田松竹で6月5日(金)まで上映中ですのでご覧になりたい方はお早めに。私はアメコミヒーロー映画では『スパイダーマン』シリーズが一番好きですが、今回見た『バットマン』シリーズ2作品も負けず劣らず強固な物語構造をもったとても面白い作品なのでお勧めできますよ。ただし、『ダークナイト』はとにかく重いので観る人を選ぶとは思いますが…。

ちなみに、この文章を書いているうちに日付を過ぎてしまいましたが、本日6月2日は「ぐうたら感謝の日」です。制定者はかの偉大なる野比のび太様です(詳しくはてんとう虫コミックス『ドラえもん』第14巻を読んでネ)。まあ普通に授業があるわけですが、ぐうたら大好きな私としてもぐうたらに感謝しつつ、残り少ない21歳の日々をのんびりと過ごすつもりです。

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