青い空はポケットの中に - ジャン=リュック・ゴダール特集@早稲田松竹

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ジャン=リュック・ゴダール特集@早稲田松竹

水曜日のことになりますが、早稲田松竹で映画を見てきました。

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早稲田松竹に入るのはこれが初めてです。この映画館は高田馬場駅から早稲田通りを真っ直ぐ行った先にあります。いわゆる名画座の一つで、東京には年々数は減りつつもこうした映画館が数多く存在するとのことです。

登下校中に早稲田松竹の前を通るたび、「なぜ古い映画ばかり上映しているのだろう?」と疑問に思うことがありました。というのも、そもそも私の地元である群馬県には名画座なるものが存在しないのです(後で知った話ですが、相次ぐシネマコンプレックスのオープンに伴って閉館を余儀なくされた古き良き映画館を、名画座として再生するプロジェクトが前橋市で行われているそうです)。したがって、過去の映画を専門に上映する映画館があることを私は上京して初めて知ったことになります。田舎者の考えだと、それで商売になるのだろうかと思ってしまいますが、早稲田松竹も一度閉館の憂き目に遭い、そのほかの名画座も閉館に追い込まれつつあるようです。魅力的な上映ラインアップを見ると、この1年間早稲田松竹を素通りしてきたことが悔やまれます。一応映画が専攻だしこれからは早稲田松竹に足繁く通うことにします。

その日に観賞した映画は2本。2本とも、フランス映画におけるヌーヴェル・ヴァーグの旗手であり、巨匠であるジャン=リュック・ゴダールの作品です。1年の時に受講した映画の授業で彼の『勝手にしやがれ』(1959年)という作品が取り上げられ、それ以来フランス映画、とりわけゴダールの作品に興味を抱くようになりました。そういうフランス映画に疎い人間が書いたレビューなのでひどく陳腐かもしれませんが読んでいただける方はどうぞ。

『彼女について私が知っている二、三の事柄』
(1966年・フランス・90分・カラー)
原題:Deux ou trois choses que je sais d'elle

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まず、タイトルがとても良い。フランス語の原題を見る限り原語に忠実な訳だが、さすがフランスというか、洒落たタイトルである。タイトルだけに関して言えば、5本の指に入るほど好きかも知れない。

この映画では、1966年のパリにおける、公団住宅に住むある主婦ジュリエットの売春の実態をドキュメンタリー風に描いている。当時のパリは新首都圏拡張整備計画による公団住宅地帯の建設が行われ、パリの街は大きく変化を遂げようとしていた。劇中では断片的に、あるいは唐突に、巨大な公団住宅の建設風景が挿入される。主人公(?)の主婦ジュリエットは売春をしているが、台詞は生々しいものの映像におけるそうした描写は極力控えめになっている。

正直言って、1回見ただけでは理解することが困難な映画だった。断片的な映像の組み合わせを見ていると、ストーリーはあるようで、実はないように見える。また、登場人物が発する言葉は台詞なのか、独白なのか、ナレーションなのか、あるいは何か政治的意図をもったスローガンの類なのか明確に判断できない。そして、その言葉一つ一つが抽象的かつ哲学的で、何を意図して発せられた言葉なのか容易には理解できない。字幕を追い、その言葉の意味を考えているうちに映画は容赦なく次のシーンへと移り変わってしまう。

映像表現の面からいえば、無線機のカラフルな基盤、煙草の火が付いている部分、ミルクと砂糖が溶け合ってぐるぐると回っているコーヒーカップをアップで写した映像はカラフルで美しいが、ある種の禍々しさを感じる。これらのシーンはどれも比喩的に使われているのであろう。

全体として、政治色の強い映画だと感じた。劇中では登場人物がベトナム戦争について語るシーンがたびたび登場する。また、唐突に米兵に傷つけられたベトナム人の写真が劇中に挿入される。主人公の主婦は、昼間は売春宿を託児所代わりに子供を預け、ブティックで服を買い、美容院で髪を整え、カフェで男を探している。その前後にド・ゴールの推し進めるパリの急進的なな都市計画を伝統的なパリの崩壊だとしてナレーションで批判している。要するに、主婦の姿を通した、高度にアメリカナイズされ、アメリカ的な資本主義及び消費社会に変貌を遂げつつあるフランスと、アメリカそのものに対する痛烈な批判なのだと思われる。私の印象だと、ド・ゴールはアメリカ・ソ連それぞれと距離を置き、第三極として今日のフランスのスタンスを形成した政治家と見ていたが、ゴダールに言わせれば彼の政策、特に急進的な国有化・公共投資による統制経済も、アメリカ的な市場原理主義と同じく批判の対象だったのである。

ラストシーンは、芝生の上に洗剤や加工食品など大量生産・大量消費社会の産物である工業製品が大量に並べらた映像が映し出される。そして、ナレーションが観客に変革を促すある種の呼びかけともとれるメッセージを発してこの映画は終了した。

全体として、容易に理解することを妨げるような映画だと感じたが、当時のフランスの急激な都市化政策、そしてベトナム戦争を推し進め、消費社会の元凶であるアメリカを批判するための政治的映画だと理解すれば、ギリギリ鑑賞には堪えうるだろう。ちなみに、以後のゴダールの映画は次第に政治色が濃くなっていくようである。

『はなればなれに』
(1964年・フランス・96分・モノクロ)
原題:Bande à part

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1本目の映画のせいで、難解な映画を覚悟していたが、この映画はポップな青春サスペンス活劇として楽しむことができた。この作品の方が断然私の好みであり、私が今まで見た映画の中でもトップクラスかもしれない、と思えるほどであった。かのタランティーノ監督の最も好きな映画としても知られている。

親友同士だが地球の表と裏ほど性格の違うアルチュールとフランツという2人の男が、オデュールという女に出会い、彼女の家に眠る大金を強奪しようと試みるというのが、ストーリーの骨子である。

この映画はゴダールが31歳の時の作品ということだが、この映画には特に若さと勢いを感じることができる。

ゴダールをはじめとするフランスのヌーヴェル・ヴァーグの映画監督たちは、元は若手映画批評家であり、彼らが映画製作を始めた時は映画制作に関するイロハを全く知らなかった。彼らは映画制作に関してはほとんど素人だったのである。それ故映画表現における斬新な手法を次々に編み出し、「ヌーヴェル・ヴァーグ(新しい波)」と持て囃されることになる。

カフェで1分間の沈黙ゲームをするシーンでは、映画も実際に1分間、音声が全てシャットアウトされている。私はこのシーンが一番気に入っている。どこかで真似できる機会があれば真似したいと思えるくらい。このシーンは、ビデオ・DVDよりも映画館で見た方がより共感できるだろう。暗い密室の中で100人以上が同時に沈黙してスクリーン上の光の明滅を凝視しているという、映画館というある種異常な空間においてこそ、このシーンは生きてくるのである。なぜなら映画もまた、観客と同じく1分間沈黙を共有するのだから。

ルーブル美術館を3人が手を取り合って9分43秒で駆け抜けるシーンは、後の映画で何度も真似されたとのことだ。また、突如フランツとアルチュールがビリー・ザ・キッド射殺ごっこを始めるシーンはゴダールの即興的な演出が冴えわたっている。この映画では最も有名であろう、3人がカフェでマジソン・ダンスを踊るシーンはミュージカル風だが、演者のダンスが下手なのがまたいい味を出している。

そして、ヒロインのオデュールを演じるアンナ・カリーナの殺人的な可愛さである。彼女のキュートさは、個人的にはオードリー・ヘプバーン以上だと感じる。ゴダール自身も例外ではなく、彼女と一度恋に落ちるがすぐに振られてしまった。

ラストでは自らナレーションを務めるゴダール自身がこの映画を「物語は三文芝居のように終わる」と言い(彼のナレーションは、他にも登場人物の心情を語るとき「ここでは括弧を開き・・・」と表現するなどなかなか独特である)、劇中で大金強奪の作戦を「B級犯罪小説」と登場人物に言わせている。これは、彼の単なる自虐とも取れるし、上記の演出とともにゴダールによる映画に対するアンチテーゼとも取れるかもしれない。

このように、この映画は印象的な演出が目白押しで、見ていて飽きることがない。また、この映画はポップな青春活劇という側面と、フィルム・ノワールに代表されるような犯罪サスペンスという2つの側面から楽しむことができる。

ゴダールの映画の中では最もわかりやすいと思われるで、彼の作品、あるいはフランス映画に抵抗を持っている人には、とりあえずこの映画をお勧めしておく。

と、いうわけでレビューは終わりです。最後まで読んでくださった方に感謝申し上げます。

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