青い空はポケットの中に - 2005年05月

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ドラえもん(わさドラ)第7回「のび太の地底国」「ボールに乗って」

◆のび太の地底国

出典:てんとう虫コミックス第26巻「のび太の地底国」
脚本:大野木寛 絵コンテ・演出:鈴木卓夫 作画監督:久保園誠

先週の「ハロー宇宙人」では少々忙しさが目立ってしまったが、今日の話は30分1話でじっくりと取り組んでくれたお陰で作品として良好な仕上がりになっていたと思う。原作では23ページもある中編なので、こういう話は出来る限り30分1話体制で放送してくれたらと思う。

この話の二面的な面白さというのは、前半の「皆で協力してひとつの国を造り上げる楽しさ」と後半の「暴走したのび太の愚かさと独裁政治への批判」であると思う。今回はそれを前半の15分と後半の15分に上手く分割されており、またアニメオリジナルのシーンも違和感なく溶け込んでおり上質な出来だったと思う。

今回は出木杉の初登場回だ(『出来杉』と誤変換しないように注意。辞書登録推奨。)。声優は誰になるかと思ったのだが、萩野志保子さんというテレビ朝日のアナウンサーだという。正直、局アナやタレントを使うのは余り好ましいことだとは思わないのだが、まあ新しい出木杉は演技もそれなりに出来ていたし、許容範囲内だと思う。しかし、長い目で見れば局アナを使うのは適切な人選とは思えないなあ・・・。そういえば、このアナウンサーは「あたしンち」の次回予告をしていた人だそうで。ならば私も何度も聴いたことのある声だ。あの早口でまくし立てる天気予報のような予告は印象深かった。局アナを滑り込ませるのに出木杉というキャラは丁度いいのだろう。ジャイアンの母ちゃんがハマリ役だったので出木杉役の人も徐々にキャラをつかんでいって欲しい。原作と比較すれば今日の出木杉はやや白けた感じの演技だった。白けた演技をすると嫌味に感じてしまう方もいるので、嫌味を感じさせない完全無欠キャラ・出木杉には白けた演技は向いていないのではないか。個人的に演じる側に「出木杉は嫌味な奴」だという認識があるのではないだろうか。

前半の皆で協力して地底国を造り上げる部分での印象的なシーンを挙げてみる。

まず、出木杉の登場シーンは唐突。この話を出木杉初登場話に持ってきたのだから、仕方のないことだとは思う。原作でも出木杉の初登場シーンは20巻の「超大作特撮映画『宇宙大魔神』」だから、原作でも唐突といえば唐突なのだが。ちなみに、本当の出木杉の初登場話は「ドラえもんとドラミちゃん」(1979年・コロコロ文庫ドラえもん『ドラミ編』収録)である。雑誌掲載時は明智と呼ばれていた。この話はドラミちゃんのドラえもん世界への再登場話でもあり、ぜひ単行本にも収録して欲しいと思った。

序盤の肝はやはり「きっかけのバカバカしさ」であると思う。ただ単に「0点の答案を隠したい」、ただそれだけ。のび太に「ママに見せろ」と言わず隠すのを手伝おうとするドラも良い。他の仲間たちにとっては「空き地が使えなくなったので、新しい遊び場が欲しい」と言う単純な理由。単純だけれど、子供たちにとっては切実なのだろう。オチへのつなぎ方も見事。全ての始まりも、全ての終わりもこの1枚の「0点の答案」によるもの。いい意味で、実にバカバカしい。0点の答案が夢の世界へといざない、0点の答案が厳しい現実へと突き戻す。0点の答案はのび太という対象を客観的に見つめるためにも必要な存在だったと言える。

ドラえもんが学校を嫌うのび太に「子どもは学校で勉強しなくちゃいけないと、日本の法律で決められているんだもの。」と言う場面では、「教育を受けるのは義務ではなくて権利だよ。」なんていう人がいるかもしれない。でも、この台詞は原作通りだし、「権利」と言ってものび太は「行っても行かなくてもよい」なんて解釈しそうだからこの台詞は適切だったと思う。現状、教育を受けさせるのは扶養者の義務であるし、義務教育と言われているくらいだからね。

「ばかだねえ。じつにばかだね。」の迷台詞が聴けてよかった。ドラの呆れ顔もわさびさんの声もハマっていたように思う。これより前の話で「きみは じつに ばかだね。」とドラが言う未収録の話があるのだが、その話は「もっと、ドラえもん」の2号に収録予定。

出木杉の忠告を無視して、のび太たちは好き勝手に家やらビルやら道路やらを広げてしまう。そこでドラえもんはポケット竜巻を出して街を全部壊してしまう。これはわさドラならではの表現だと思った。そしてついにジャイアン・スネ夫・ドラえもんで喧嘩になってしまう。ここでの掛け合いもわさドラならでは。

子どもらしい発想で壮大なる「秘密基地」を作る楽しさはうまく描かれていたように思う。「秘密基地」という言葉は、子どもにとって特別なもの。小学生当時、悪ガキどもに混じって秘密基地作りをしていた自分が懐かしい。それが地底という空間において子どもの好奇心をそそりつつ話は展開する。子供心を忘れない藤本先生はさすがだと思う。CMに入る直前の引き絵はよかった。

次に、後半の展開での印象的なシーンを挙げてみる。

こちらはアニメオリジナルのシーンが多い。だが、私は原作至上主義を謳うつもりは一切ないので、こういうアニメオリジナルのシーンを原作の面白さを損なわない形で入れてくれるのはスタッフの挑戦が感じられて大いに結構だと思う。今回のアニメオリジナルのシーンは風刺の利かせ方も良好で、30分の中に上手く溶け込んでいた。後半のたたみ掛けは風刺が効いていてなかなかのものだ。

まあ、のび太が暴走するそもそもきっかけはドラえもんなんだけれど、この「ポリスバッジ」を最初から最後まで権力の象徴として描いてくれたのは良かった。これを持ったがためにのび太は権力に溺れていくわけである。「TheSkyBeans」でgummigummi-ballさんが述べられているように、独裁社会の崩壊をポリスバッジという権力の象徴が地底に埋もれていく様子を通して伝えられていたのは非常に良い演出だと思った。

「もう少し現実的に行こうよ」と言うクールなドラも良かった。どちらかと言えば、説教臭いドラよりはクールに突き放すドラをもっと見てみたい。

特に印象的だったのは、アニメオリジナルのシーンであるのび太の銅像。これはフルCGで作られているが、CGの持つミスマッチ加減がバカバカしさを醸し出しており良かった。CGの欠点、というかアニメ絵の中にCGが介入した時の違和感を逆手にとっておりなかなかニクイ効果を出していると思った。この種の権力の象徴はいつの時代にも見られる。15年前ならソ連のレーニン像だろう。今当てはめるとすればイラクのサダム・フセイン像であろう。スタッフがあえてフセインを意識したかどうかは分からないが、とにかくバカバカしい権力の象徴を表すには銅像はうってつけである。クーデタによってのび太は出木杉らの反乱者一派に追われ、ついには自らが造らせた銅像に身を潜める。そして足元からは0点の答案が。結局は自分が造らせたものによって自ら墓穴を掘ってしまうわけだが、このあたりのたたみ掛けも上手かったと思う。銅像が倒れるシーンと、それによって地底国が崩壊するシーンは多少唐突だった気もするが。

最後はいつものしっぺ返しオチ。この手のオチが出てくるのは意外に少ないが、独裁国家への批判やクーデタなどの難しい用語をオブラートに包みながらも決して押し付けがましくなく、かつ分かりやすく私たちに伝えてくれる原作者の藤本先生は本当に素晴らしい漫画家である。

この話が作られたのは1980年、今から25年も前のことである。藤本先生はある程度当時の世界情勢を意識して作られたのだと思うが、その当時の情勢といえば、南米で相次ぐクーデタ、イラン・イラク戦争、キューバ、米ソ冷戦などであろうか。今に当てはめるとイラクや北朝鮮だろう。しかし、今この話を見ても全く違和感なく現在の状況に当てはめることが出来るのだから、こういうことっていつまで経ってもなくならないんだな・・・と思うと同時にそういうことをきちんと踏まえたうえで漫画を描く藤本先生の先見の明には改めて敬服の念が起こる。アニメとしての出来は、勢いや楽しさが感じられてかなり良かったと思う。ここ最近失速気味だったのがまた加速体制に入ったようだ。

◆ドラえもんミニシアター「ボールに乗って」

出典:てんとう虫コミックス第14巻「ボールに乗って」
絵コンテ・演出:やすみ哲夫 原画:武内大三

ついに来ました!!一部ファンの間では超有名な「ボールに乗って」。確かに原作はわずか2ページしかない作品だし、その唐突さに笑ってしまう。2ページの作品は初期の低学年誌を見れば毎月掲載されている。だが、単行本に載った2ページ作品はこれだけ。思い入れの強い人もおられると思う。私もこの話はとても強い印象がある。実際の作品は、かなり実験的な絵だったなあ。この企画自体が実験的なものだし、デフォルメされた作品を見るのは構わないのだが、もう少し上手に描いて欲しかったという気持ちもある。だが、アニメ化が無理といわれていた「ボールに乗って」がこうしてアニメ化されただけでも感涙もの。そういえば、ケロロ軍曹4巻「ポールに乗って」の元ネタでもあるこの作品。ケロロ軍曹でこの話が出てきたときは思わず爆笑してしまった。

来週は、「入れかえロープ物語」「まんが家ジャイ子」の2本。前者の原題は「男女入れかえ物語」なんだが、タイトルの改変が気になるなあ・・・。まあ、来週も楽しみに待つことには変わりない。

Oasis / Don't Believe The Truth

B00097A5I6Don't Believe the Truth
Oasis

曲名リスト
1. Turn Up The Sun
2. Mucky Fingers
3. Lyla
4. Love Like A Bomb
5. The Importance Of Being Idle
6. The Meaning Of Soul
7. Guess God Thinks I’m Abel
8. Part Of The Queue
9. Keep The Dream Alive
10. A Bell Will Ring
11. Let There Be Love

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久々に音楽の話題です。
前作「Heathen Chemistry」から3年。いよいよ、オアシスの最新作6thアルバム「Don't Believe The Truth」の登場です。今日早速HMVで購入してきました(リアルタイムで購入したのはこれが初めてですが)。「真実を信じるな」という自己主張の強いタイトルが採用されています。ノエル曰く、「"Definitely Maybe"以来のどの作品よりも満足してる」(彼の「最高傑作宣言」は今に始まったことではありませんが」)とのことなので、期待していました。今回はサポートドラマーとしてビートルズのリンゴ・スターの息子、ザック・スターキーが参加しています(どうやら正式メンバーになったらしいです)。彼のドラムは味があり、ツボを心得ていて素晴らしいです。また、メンバー全員が作詞・作曲を行っています。[oasis]のロゴも昔のようなシンプルなものに。やはりこちらの方が良いですね。実は発売前にMTV JAPANで先行フル試聴が行われていて(5/30までの期間限定)、発売前に全て聴いてしまいました。まあ、発売まで我慢して待っているのも良かったかもしれません。まだ3回くらいしか聴いていませんが早速感想を書いてみたいと思います。率直な感想としては、「期待以上の仕上がり」です。5thよりは全体にレベルが上がっていると思います。特に「音作り」については全6作中最高クラスだと思います。ただ、1stや2ndのような作品を求める人には少々辛いかもしれません。個人的な主観ですが、オアシスはそういう聴き方をしても余り楽しめないと思います。やっぱりどんなアルバムを出してきてもオアシスはオアシスなんですよね。今回は賛否両論ありそうな気がしますが、それだけすごいバンドになったということでしょう。では各曲の手短なレビューです(星の数は今の時点での印象)。

1. Turn Up The Sun ★★★
作曲:アンディ・ベル(B)
イントロが良い。「これから始まるぞ」という高揚感がある。

2. Mucky Fingers ★★★
作曲:ノエル・ギャラガー(G, Vo)
どこかで聴いたことがあるようなメロディーだなぁ・・・。ある意味パクリは彼の常套手段ですが、曲としては悪くない。

3. Lyla ★★★
作曲:ノエル
1stシングルで、恐らくこのアルバムを象徴するであろう曲。ノエル曰く「"Roll With It"」以来、俺たちにとって最大のポップ・ソング。イライラするほどキャッチー。ちょっとだけザ・フーっぽい"」だそうだ。確かにオアシスの曲としてはポップな部類に入るだろうが、インパクトはそれほど強くない。ただ、「ヘ~イ、ライラ♪」というサビがとても印象的。繰り返し聴くとだんだん良くなってくるかも。

4. Love Like A Bomb ★★★★
作曲:リアム・ギャラガー(Vo)
さわやかな曲。中盤のピアノとアコースティックギターの音色が美しい。晴れた日に聴くと良い佳曲。

5. The Importance Of Being Idle ★★★★★
作曲:ノエル
あちこちで言われているが、イントロが水戸黄門のようだ。メロディーが美しく、ノエルのボーカルも冴えている。今のところこのアルバムの中では1番目か2番目に好きな曲。好き嫌いは分かれそうだが。

6. The Meaning Of Soul ★★★★
作曲:リアム
疾走感のあるアップテンポな曲。1分42秒と短く、シンプルに出来ている。とにかくカッコイイ。アップテンポの曲はオアシスには少ないのだが、アップテンポの曲を歌わせればリアムは天下一品だ。

7. Guess God Thinks I’m Abel ★★★
作曲:リアム
スローでアコースティックな曲。5と同じくさわやかな感じで、アルバムに緩急を持たせている。

8. Part Of The Queue ★★★
作曲:リアム
ミドルテンポの曲。4/3拍子で出来ているらしい。メロディーはなかなか良い。

9. Keep The Dream Alive ★★★★
作曲:アンディ
穏やかさの中に力強さを秘めたような曲。メロディーも美しく、オアシスらしい曲。

10. A Bell Will Ring ★★★
作曲:ゲム・アーチャー(G)
ロック色が強い。シンプルにまとまっており、出来はまあまあ。

11. Let There Be Love ★★★★★
作曲:ノエル
ビートルズ、特にジョン・レノンを髣髴させるバラード。兄弟二人が仲良くボーカルを分け合って歌っている。二人の掛け合いがすばらしい。これはかなりの名曲だ。物悲しく、しかし優しく歌い上げている。アルバムの最後を飾るのにふさわしい曲。

<日本盤ボーナストラック>
12. Can You See It Now? (I Can See It Now)  ★★
インストゥルメンタルの普通の曲。

13. Sitting Here In Silence (On My Own)  ★★★★
2分の小品だが佳曲。メロディーはとても美しい。

全体としては後半の方が良い曲が多く、流れも良いと思います。賛否両論ありましょうが、ガツンと来るような曲はなくても聴きこむほど良さが出てくるアルバムではあると思います。いい意味で円熟味が出てきたという印象です。やはりノエルの曲の方が良いと思いつつまた他のメンバーの曲もそれに負けないくらい良く出来ているとも感じました。

ところで、「Barks」によると、リアムが「歴代“お騒がせアーティスト20”」の第5位に選ばれたそうです。音楽の才能はあるんだけど、相変わらず傍若無人ぶりは健在ですね・・・。

6月にはColdplayの新作「X&Y」が待ち受けています。これからのバンドという意味ではオアシスよりも期待しています。WeezerやThe Coral, Gollirazの新作も気になります。新作ラッシュで音楽の話題には事欠かない毎日です。

<関連リンク>
オアシス、新作を語る(Barks)
公式ページ(日本)

ドラえもん(わさドラ)第6回「(秘)スパイ大作戦」「ハロー宇宙人」

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アニメを見た後にこうやって感想を書くのもブロガーとしての楽しみのひとつ。だが、ドラえもんの感想を書くのに4時間以上も費やしている自分もいる。それはさすがにマズいし、長続きしそうにないので今回からはあらすじは省略してポイントだけを簡潔に書いていくつもりだ。好きな話の時は前回同様気合が入ってしまうかもしれないが・・・。今日は一番安心して見られたかな。スタッフも声優も大分こなれてきた感じがする。それでは早速感想を。

◆(秘)スパイ大作戦
(脚本:早川正 絵コンテ:前田康成 演出:寺本幸代 作画監督:嶋津郁雄)

てんとう虫コミックス第1巻収録。言ってしまえば「盗撮」ネタ。まあ、ドラとのび太は「タイムテレビ」や「自家用衛星」でしょっちゅう盗撮めいたことをやらかしているのだが、それらの作品の元祖に当たる作品だ。ちょっと黒めのネタも演出をコミカライズすることによりギャグ作品として問題なく仕上げられていたように思う。初期の黒い作品が見られて個人的には新鮮な気持ちだった。

初期作品のためとにかくスネ夫が目立っている。「驚音波発振機」の回でジャイアンを主役に持ってきたので今回はスネ夫が主役の話を持ってきたのだろう。原作のみスネ夫が「のび太をいじめてすっきりしよう。」という台詞があるのだが、これはいじめの本質を突いた台詞だと最近思うようになった。同じような台詞は他の作品にも多く存在しているが、「いじめはいじめる側が快感を感じているため、根絶は難しい」という側面を一言でよく表していると思う。ちなみに初期作品でのメインのいじめ役はあくまで「スネ夫」である。初期のジャイアンなど言葉は悪いが単なる馬鹿力のウスラバカにすら思えるほどだ。いつの日かスネ夫はジャイアンにリーダー格の座を明け渡すことになるのだが。

大きな変更点といえば、「スパイセット」のデザインと、スネ夫の秘密である。
スパイセットのデザインは原作では真っ黒な顔の形をした道具で、目と鼻が取り外せて偵察を行い、口がモニターの役割を果たしている。あのなんとも不気味でナンセンスなデザインが好きで、また改悪かと思ったのだが、そうでもなかった。今回はトランクの中にマイクとカメラの形をした人形が歩き回って偵察をし、トランクに内臓のモニターに映し出される、というものに。変更の理由は不明だが、恐らくアニメとして動きを持たせるためというのと、15分の尺に合わせるためにスパイ道具を擬人化することでオリジナルのシーンを付け加えるためなどという理由が考えられるだろう。擬人化されたスパイ人形は凸凹の漫才コンビのようで面白い。けっこうFテイストあふれるキャラクターだったので好感が持てた。2人のズッコケぶりも面白いし、ドラやのび太と一緒になって居眠りしてしまうなんてのも面白い。これは場面を分かりやすく視聴者に伝えるというのにも一役買っているし、スパイというある意味危険な行為をコミカライズしてギャグとして成立させることにも成功したようだ。こういうアニメオリジナルの解釈を付け加えることはそれがドラの世界観にマッチしていて面白ければ歓迎である。わさドラは原作という名の原点に一度戻ったのだから、アニメオリジナルとしての解釈も適宜追加していってくれれば、と思っている。

次にスネ夫の秘密だが、原作では「おねしょの癖があるのでいつもはオムツをはいている」というもの。今回は「トイレのドアが開けっ放し、大をする時には全部脱いでしまう」というものに。こちらの方がなんだかリアルだが、弱みにしては決定打が薄い気がする。他のブログ等でも話題になっているが、これも規制の一環なのだろう。ちなみに「夜尿症」は5歳を過ぎた子供が夜中や寝ている時にお漏らしをしてしまう症状のこと。5歳未満では単なる成長段階なので普通のことなのだが、それを過ぎるとまだ発達が未熟というのと精神的な影響も加わってくる。現在では夜尿症は一種の「心の病」であるということも分かっている。なので10歳を過ぎても治らない場合は抗鬱剤などで治療をすることもある。だから現在では短絡的に馬鹿には出来ないのだろう。というのも恥ずかしながら私はおねしょが治るのが人より遅かったので、小学生当時はこの話を読むのを避けていた節がある。なので今回は不満を持ちながらも許容範囲内とする。

地味に「どこでもドア」が初登場。もはや秘密道具というよりは日常品としてさりげなく使われている。

全体としてはテンポよく作られていたので及第点の出来。オチは冒頭の「カ、ビ、ン。」という言葉が最後まで引っ張られてオチにつながるというもので、落語好きな藤本先生らしいオチだ。しかし、しっぺ返しを受けないのび太に違和感を覚える人も多いのかな・・・。ただ、最後にスパイ人形のポーズを入れることで上手く締めていた。こういうブラックな話は私は大歓迎。規制が何だっていうんだ。

◆ドラえもんミニシアター
(絵コンテ・演出:やすみ哲夫 原画:平川哲生)

今回も幼児誌掲載の単行本未収録作品から。何でもペッタンコにしてしまうローラーの話。制作者は先週と全く同じだが、作画は本編の絵とほとんど変わらない。キャラの口が動かないので紙芝居的な雰囲気がある。ローラーでペッタンコになった時のペラペラ感はさすが。CG技術の進歩を感じる。

◆ハロー宇宙人
(脚本:早川正 絵コンテ:前田康成 演出:寺本幸代 作画監督:嶋津郁雄)

てんとう虫コミックス13巻収録。しくじったことに、前日まで「未知とのそうぐう機」と勘違いしていた。ハルカ星人が印象深かったからか。「ハロー宇宙人」は22ページのSF中編で、本来ならば30分枠で放送するべき作品だ。この作品も繰り返し読んでいた好きな作品だ。少年サンデー掲載作品なので、全体的に大人っぽい雰囲気で、緻密に描きこまれている。

この話は藤本先生お得意の「箱庭宇宙」作品だ。自らが造物主となり箱庭的な状況の中で世界を作り上げていく物語を、藤本先生は幾度となく描いてきた。それらの作品群には藤本先生の願望が見て取れる。「世界を作ってみたい」こういう願望を抱いたことがある人もおられるのではないだろうか。それらの一連の作品を読むと、文明の発達の流れ、あるいは科学的な知識も織り込まれており、読む者の知的好奇心をくすぐる作品ばかりだ。そして藤子作品らしくギャグもきちんと織り交ぜられている。そういう箱庭宇宙的な作品は読み応えがあり完成度の高い作品が多い。「ハロー宇宙人」その中の作品のひとつである。

この作品は「のび太の創世日記」のように文明の発達の流れが描かれており、同時に火星の神秘も描かれている。この話に出てくるUFO研究家の「円番さん」はとても印象的なキャラで、たった1話しか出てこないのに存在感が強い人物だ。今回は正門のUFOをかたどったオブジェや庭にある数々のUFOの模型や家の中の写真などUFOマニアっぷりが強調されており、なかなか濃いキャラになっていた。円番さんをだましてメロンをせしめるスネ夫は今見ても意地汚い。さらに、円番さんを背にしてジャイアンとスネ夫が円番さんを馬鹿にしながら遠ざかっていく場面は円番さんとジャイ・スネのギャップを強調しており良い演出だった。

後は基本的に原作通り。特筆すべき点は火星の生命が進化していく様子の演出や作画が非常に丁寧だと感じた(写真参照)。火星人が地球にやってきてパイロットがドラとのび太が夢中で見ている「UFOレンジャー」を観察する場面では、肝心のUFOレンジャーが面白くなっていてウケた。原作では顔の模様がトランプのマークだったのが、今回は「+ - × ÷ =」になっていた。やはりヒーロー役ではまたもや関さんが声を当てていた。これからも関さんの一人2役が聞けそうだ。私はなんだか「アミノサプリ」のCMに出てくる「アミノンジャー」を想像してしまった。

やはり12分程度の時間に収めるのは厳しかったようで、原作にあるインチキ写真にのび太が写りこんでいる場面や火星人のパイロットがジャイアンとスネ夫を見て「野蛮人だ」とのたまう場面がカットされていた。やはりこの話は30分枠で放送した方が良かったのでは?

この話は藤本先生が暗に文明批判をしているようにも読み取れる。だが、説教くさくなく、さりげなく流してくれるのが藤本先生らしいといえる。オチは今回は2段構えになっていたが、最後の「まだあんなことやっているよ、地球人。」の台詞は蛇足のような気がした。そのせいで少し説教臭さが出てしまったように感じた。

ただ、全体としてはテンポの速い部分があったものの、火星人を作るという行為をマクロな視点から丁寧に描きこまれており心地よかった。これも及第点の付けられる出来だと思う。

その他、わさドラ全体として「規制」に関してはまだまだ腑に落ちない点も多い。これに関しては追々このブログでも取り上げていきたいと思う。

来週は「のび太の地底国」(前編・後編)。ついに出木杉初登場。「のび太と竜の騎士」の元になった作品でもある。来週も楽しみだ。 

ドラえもん(わさドラ)第5回「タイムふろしき」「タンポポ空を行く」

◆スタッフ・キャスト覚書

総作画監督補佐 金子志津枝

「タイムふろしき」
脚本:早川 正  絵コンテ・演出:塚田庄英  作画監督:服部憲知

「ドラえもんミニシアター」
絵コンテ・演出:やすみ哲夫  原画:平川哲生

「タンポポ空を行く」
脚本:高橋ナツコ  絵コンテ・演出:安藤敏彦  作画監督:服部憲知

ヒーロー(宇宙巡査部長)  関智一
ジャイアンの母ちゃん     竹内都子
スネ夫のママ          高山みなみ

タンポポ    岡村明美
タンポポの子 三田ゆう子
モンスター    楠見尚己
運転手     宇垣秀成
男         高戸靖広
ネコ         松本美和
繁みの声A   まるたまり
繁みの声B   若菜よう子
繁みの声C   瀬那歩美
樹A       桃森すもも
樹B        山下亜矢香


さて、わさドラも5回目に入った。今日はセ・パ交流戦があるのにもかかわらずドラえもんの30分枠だけはきちんと取っておいてくれた。まだ始まったばかりというのもあるが、テレ朝はとにかくわさドラに力を入れているのだろう。野球観戦は好きだが、去年まではドラえもんですら潰されることが多かったし、好きなテレビ番組を潰されるのはどうも不快だったので、ドラえもんを放送してくれたのは良かった。今日も先週と同じく安らかな気持ちで見ることができた。

◆タイムふろしき
てんとう虫コミックス第2巻収録のドタバタギャグ作品。冒頭でいきなりヒーローアニメが映し出されたので驚いてしまったが、ドラとのび太が見ていた番組だった。この宇宙刑事ならぬ宇宙巡査部長(笑)なるヒーローの声を担当していたのがスネ夫役の関さん。一人2役を演じるのが好きな方らしいので、関さんらしいといったところか。ヒーローの決め台詞が「寿限無」だったのには笑ってしまったが。

調子が悪いテレビの様子に合わせてドラえもんの目が変わるという演出も原作通り。原作でも好きなシーンのひとつなのでアニメで見られたのはうれしい。とうとうテレビが壊れてしまい、ママに買って欲しいとせがむ。原作では野比家のテレビはまだ白黒で、「カラーに買い換えよう」というのが時代を感じさせる。これは当時の世相を反映したものらしいが、リモコン付カラーテレビが普通の時代に生まれた私にはちょっと想像がつかない。だがアニメでは普通に「新しいのに買い換えよう」で、無難にまとめていた。ここで有名な「ここんとこを約60度の角度でたたくのがコツよ。」というママのくだりが登場する。これも映像を通して見られたのはうれしい。ママのチョップに合わせて敵怪人が倒れていたが、この「シンクロ演出」はなかなかニクイ演出だった。洗濯機も調子が悪いので、ママは洗濯機までチョップで直そうとするが動かなくしてしまう。これはアニメオリジナルの演出だがギャグっぽくて良い。アニメでは普通の洗濯機だったが、原作では「手回し脱水機」が付いている洗濯機だったので時代を感じた記憶がある。パパのカメラもライカ風の古いカメラだった。

のび太と一緒になって金儲けをたくらむドラはどのようになるのか気になっていたが、一同は躊躇するもののドラ焼きに目がくらんでしまう展開でなかなか良好。個人的にはこういうドタバタキャラのドラも好きだ。うっかりスネ夫にタイムふろしきのことをばらしてしまうし、初期は結構馬鹿っぽい面もあった。

ジャイアン役の木村君の演技は日に日に向上しているように感じられるのだが、皆に集合をかけて命令をする場面ではまだガキ大将の横暴さが感じられない。まだ14歳というのもあるので長い目で見守ることにするが。母ちゃんにしょっ引かれる場面で「見のがしてくれたら、あとで1万円やるぜ。」という台詞はなかったが、意地汚いジャイアンの一面が見られる台詞なので聴いてみたかった。

タイムふろしきが被さって禿げた爺さんがふさふさになる場面は、アニメでは不良に絡まれている爺さんにタイムふろしきが被さって若くたくましくなった爺さんが不良にやり返すという場面に。どちらもギャグとしては面白いので文句はないのだが、やはり禿げた人への配慮なのかという勘繰りをしてしまう。

今回はジャイアンの母ちゃんとスネ夫のママの長台詞が聴けた。高山みなみさんは「のび太のおよめさん」の回にスネ太郎のママ役で出演していたが、スネ夫のママ役としては今回が初出演。声を聴いてみて、さすが声優さんだと感じた。とても江戸川コナンを演じている人の声には聞こえなかった。脇役陣は豪華なだけあって、両者とも声はハマリ役だと思った。

この話では作画の乱れが少々気になった。新しいキャラデザに作画スタッフが必死になって似せて描いているような印象を受けた。やはり毎週デッサンの狂いがない安定した作画を供給してもらいたいものだ。

ワニが出てくるオチも原作通りなのだが、やはりアニメになると少々印象が薄い。オチの表現方法は別に原作にがんじらめになるほどこだわらなくても良いから、柔軟に対応して欲しい。落ちの表現については課題があると言える。作品としては、アニメとしての動きを追求し、テンポの良い場面もあったが、逆にテンポの悪い場面も見受けられたのでまあまあの出来。

◆ドラえもんミニシアター
出典は幼児誌掲載で未収録の4ページ作品。今回は未収録作品を発掘して放送した。制作者を毎回変え、作画もそれぞれの個性に合わせたもので、かなり実験的な取り組み。今回は白黒で漫画風の作画だった。やすみ哲夫氏は「日本昔ばなし」も担当していたベテラン。ロープで遊ぶ話はいかにも楽しそうで微笑ましい。そういえば、ドラえもんはロープ系の道具の種類が多い。

◆タンポポ空を行く
てんとう虫コミックス第18巻収録。ほのぼのとした情景で語れらる感動系作品。また、のび太の成長も感じ取れる良作だ。ドラえもんでは人気の高い作品で、私も原作で初めて読んだ時は涙ぐんでしまった、個人的にはかなり思い入れの強い作品。数年前に大山ドラでもリメイクされ、私も少しだが記憶に残っている。今回はテレビの画面に見入ってしまい、目頭が熱くなってしまった。

冒頭でのび太はカブトムシのカゴの中に植わっているタンポポをいとも簡単に捨てようとする。原作で初めて読んだ時は「おいおい、のび太ってずいぶん冷たい奴だな」と感じ、いささかのショックを覚えた記憶がある。この「無気力・無感動感」の表現はこの後の展開への橋渡しとなるだけに、アニメでも原作に負けず劣らず秀逸だった。

わさびさんの声もだいぶ良くなってきたが、言葉の癖を感じると共に「豊かな人間性云々」のくだりはちと説得力が足りないと感じた。逆にのび太役の大原さんの声と演技にはほとんど違和感を感じなかった。

ファンタグラスをかけたのび太はタンポポを庭に植え替え、他の植物にも水やりをする。しかしノラ猫に馬鹿にされてしまう。のび太は機嫌を損ねるが、「君が、心の底で思っていることなんだ。」とドラはのび太に言う。この台詞は非常に深い意味を持つのではないか。のび太は、決して擬人化された植物と語っているのではない。擬人化された植物を通して、自分自身と語り合っているのだ。のび太に動植物の大切さを教えるためにドラが出した「ファンタグラス」。一度ははずしてしまうものの、「ときどきかけて遊ぶといいさ。」とドラは気楽そうにのび太に言った。アリの行列を見てのび太はファンタグラスをかけてみる。しかし、アリにまで馬鹿にされてしまう。「はたらけ、はたらけ、冬にそなえて。なまけていると、後できっと後悔するぞ。のび太みたいにならないように。せっせ、せっせ。」アリは一所懸命働く。そんなアリを見てのび太は急に勉強を始める。「心の底で思っていること」・・・のび太は心のどこかで「このままではいけないんだろうな」という考えを持っている。それがこのアリの群れを通してのび太に語りかける。あの馬鹿にしたノラ猫も、のび太がドラえもんを投影した姿なのかもしれない。

のび太は次第にファンタグラスの世界に夢中になっていってしまう。「擬人化された植物=自分自身」の世界に溺れていってしまうのである。一種の引きこもりなのだろうか。ジャイアンとスネ夫に野球に誘われても、のび太は頑なにそれを拒否する。そんなのび太を見かねたタンポポがのび太を諭す。しかし、のび太は憤慨して出て行ってしまう。もうひとつの自分が語りかけているのだから、余計にのび太にはグサリとくるのである。

いったんは憤慨したものの、台風がやってきて暴風雨が吹き荒れる中、のび太はタンポポのことが心配になり庭に出る。案の定タンポポは強風に煽られて苦しんでいる。それを見たのび太はタンポポに植木鉢をかぶせて夜通しタンポポを守り続けた。のび太に芯の強い心が生まれてきたシーンであり、印象深い。

やがてタンポポはきれいな黄色い花を咲かせる。タンポポはのび太にお礼を言い、のび太を褒める。だんだんタンポポとの世界だけに引きこもっていくのび太。ママやドラも心配し、ドラはたまには外で野球でもするように言う。しかしのび太は全く興味を示さない。今自分を認めてくれるのはタンポポしかいない。のび太はますますタンポポとの狭い世界に溺れていってしまう。

そしてタンポポは種子をつけた。風が吹くと、綿毛の子供たちは次々と大空へと旅立って行く。この「風」がやってくる時の演出は新たな世界への旅立ちを上手に表現しており素晴らしい。旅立ちを迎えたタンポポの子供たちをのび太も暖かく見守る。そこに、なかなか旅立とうとしない意気地なしが一人。意気地なしが駄々をこねているところに、タンポポは一所懸命言い聞かせようとする。

夜になったが、タンポポと意気地なしのことが心配なのび太はファンタグラスをつけて窓から覗き込む。すると話し声が。タンポポは意気地なしに自分の昔話を聞かせている。遠い遠い山奥の駅のホームで生まれたタンポポは、大勢の兄弟と一緒に大空へと旅立った。「こわくなかった?」「ううん、ちっとも。はじめて見る広い世界が楽しみだったわ。」・・・・・疲れると列車の屋根に降りて揺られながらお昼寝をしたこと・・・、夜になるとさびしくなって泣いたけど、お月さまがなぐさめてくれたこと・・・、初めて広い広い海を見たときの感動・・・、そしてのび太の部屋に飛び込んだこと。タンポポはやさしく意気地なしに語りかける。「ママ、旅をしてよかったと思う?」「もちろんよ。おかげできれいな花を咲かせて、ぼうやたちも生まれたんですもの。」眠くなった意気地なしに、タンポポは子守り歌を歌って聴かせる。この一連のシーンで使われたBGMは「どくさいスイッチ」でも使われたがなかなかの名曲で、今回も演出と共に印象的に使われていた。この一連のシーンは本当に大好きな場面だ。原作で読んだときは神懸り的な叙情を感じた。アニメでも素晴らしい演出だったと思う。

翌朝、意気地なしはついに大空へと旅立った。心配になったのび太はタケコプターで追いかける。意気地なしは自信を持って怖くないと心配そうなのび太に語りかけた。「ママに心配しないでと伝えて。」「がんばれよう。」のび太は新たな旅立ちを見届けた。

あの意気地なしに勇気付けられたのだろうか、のび太は河原のグラウンドに向かう。そこではジャイアンたちが野球をしている。のび太の代わりにドラがバッターボックスに立っていた。「ぼくも・・・・・、入れてもらおうかな。」のび太はグラウンドに向かって走り出した。

以上、ざっと各場面を追ってみた。全体としては15分の枠内で上手く原作をまとめており、かなりの出来になっていた。演出もあの末期の安藤敏彦氏とは思えない。やはり、より良いコンセプト・監督・スタッフ・脚本などの中で演出は生きてくるのだろう。好きな話なので30分枠で見たいという願望もあったのだが、変に間延びしない15分枠の今回の方も結構よかったのではないか、と思った。

ラストシーンに関しては賛否両論という印象を受けた。あのラストシーンは原作では非常に強い印象を持って私たちに語りかけるのだが、アニメにすると引き絵だけではどうも印象が薄いし、あのラストは原作だからこそ生えるシーンなのでもう一工夫欲しいという考え方も出来る。あるいは、無理に小細工をすることなく余韻をもって終わらせることができ、シンプルで良かったという考え方もできる。ただ、アニメでは多少派手に盛り上げた方が映える場合が多い。手書き風の止め絵を数秒間見せるとか、のび太がグラウンドまで駆け下りて行きながらフェードアウトするとか、月並みなことでかまわないからもう少し盛り上げて欲しいという気持ちも十分理解できる。それだけでも視聴者の心に刻まれる印象というものは変わってくるのだろう。私に関してはどちらの意見も共感できるし、一概には決められない。大山ドラのときは盛り上がったラストだったので、今回はシンプルにまとめたというところか。

のび太はファンタグラスで擬人化された動植物を通して、自分自身と語り合っていたのだろう。一度は自分自身の世界に閉じこもってしまったこともあったが、一人の意気地なしを通して外の世界へ目を向けることの大切さを学んだ。あの意気地なしは、実はもう一人ののび太だったのかもしれない。

ドラえもん(わさドラ)第4回「驚音波発振機」「オールマイティパス」

わさドラも今回で4回目だ。1回目と2回目は落ち着いて見られず、3回目は「どくさいスイッチ」だったため更に落ち着けず、心安らかに見ていられなかったのだが、今回は安定軌道に乗ったという感じで落ち着いて見ることができた。

◆「驚音波発振機」
とにかくジャイアンの歌がメインの話。原題は「狂音波発振機」なのだが、原作では既に小学館と藤子プロの過剰な自主規制により「驚」の字に変えられてしまっている。そのせいで台詞回しが不自然になったり、道具の意味まで変えられてしまっている話もあるので、もう少し緩くしてもらいたいところだ。わさドラではタイトルと道具の登場シーンで道具名を表示するので、アニメにまで影響を受けた形となってしまった。ちなみにこの道具の正式名称は「驚音波発振式ネズミ・ゴキブリ・南京虫・家ダニ・白アリ退治機」なのだが、アニメでは南京虫が抜けてしまっていた。まあ、今時南京虫なんて虫を知っている人も少ないか。かく言う私もどういう虫かは知らない。

物語の導入部でジャイアンリサイタルのシーンが追加された。原作ではのび太がジャイアンからこそこそと逃げ回るシーンから始まるのだが、ジャイアンの歌のすさまじさを視聴者に認知させるという目的と、物語を導入しやすくするという目的においては、良い追加だったと言える。肝心のジャイアンの歌だが、たてかべさんが歌っていた「おれはジャイアンさまだ!」ではなく原作に近い詩で歌っている。それに音響エフェクトと沢田完さんの歌謡曲風の伴奏が付けられてすさまじさを出そうと試みている。木村君の演技は前回よりも上達しており、さすが若いというだあけあって成長の跡が感じられる演技であった。歌はわざと音程をはずして歌うことで音痴っぷりを出そうとしていた。まだ未熟な点も多いが心配していたほどでもなく、今の時点では上々と言えるで出来であった。

野比家の玄関の前で、爆弾を取り出しながら「おお、そうだ!爆弾で家もろともふっとばしてやれ。」と目をギロギロにさせて狂うドラは、わさドラでは更に過激に。よだれを垂らしながら「こいつで家ごと、いや町ごと。」などとのたまっている。個人的には「ネズミとばくだん」に代表されるようなドラの「狂いっぷり」が好きなので、これだけ狂ったドラが見られただけでも満足だ。

他のブログでも言及されている通り、大山版「ネズミとばくだん」(1979年)は今や伝説とも言っていいほど。私もDVDで見たことがあるが、狂ったドラがマシンガンでのび太やママを撃ち殺そうとするし、のび太は「殺す気か!化け猫!!」などと叫んでいる。これを受けたドラは、「なにぃ、やるか!?」と言いながらのび太を殴り飛ばしている。ママも必要以上に叫んでいる。屋根裏でのドラの狂い顔もまたすごい。後年の大山ドラしか知らない大山ドラファンにこの話を見せたらどんな顔をするだろうか。わさドラでの「ネズミとばくだん」はこれ以上の過激さでやってくれるとイイナァ・・・。

「ばれたら殺されるぞ。」の台詞も原作どおり。いい加減「ギタギタのメッタメタ」の台詞に飽き飽きしていたので、今まで聞けなかった「殺す」の台詞が出てきたのはうれしい。原作ではたびたび登場する台詞で、これくらい言ってもらわないと緊迫感は出ない。後は、ママをタケコプターでちゃんと飛ばしてくれたことも良かった。

この話の難点は「オチの再現の難しさ」であると思う。原作では中ゴマひとつの中に描かれている後ろ向きで冷や汗をかいているのび太と何も知らずに興味津々と覗き込むジャイアンとの対比が面白く、さすがコマ割りと演出を心得ていらっしゃる藤本先生らしいひとコマであったが、アニメでこれを「オチらしく」再現するのは難しい。わさドラでは、アニメオリジナルの展開を持ってくることよりも原作をなぞる方を選んだようだ。覗き込むジャイアンをより長めに描くことでオチらしく見せようとしている。最後にのび太はノビてしまった。オチとしてはまあまあだが、これはこれでよかったと思う。全体としては特筆すべき点も少なく、安定軌道に乗ったと言える出来だった。

◆オールマイティパス
この話の肝はやはり星野スミレであろう。元は「パーマン」に出てくる「パーマン3号」、通称「パー子」である。「パーマン」はドラえもんよりも前の年代に描かれた作品であるためか、星野スミレは大人になった姿で登場している。パーマン時代から売れっ子の人気アイドル子役で、ドラの原作の中でも、大人になってもかなりの人気女優の地位を得ているらしい描かれ方をしている。彼女は大人になった今でもなおバード星へと旅立った「パーマン1号」こと須羽ミツ夫を待ち続けているという設定だ。パーマン本編中では彼女がミツ夫のことを想っているということが描かれている話はないのだが、やはり心のどこかで彼は支えとなり続けていたのであろう。ちなみに星野スミレの本名は「鈴木伸子」というのだが、「新パーマン」ではうやむやにされてしまったようだ。ドラの原作中にはオバQやウメ星デンカやエスパー魔美など越境出演キャラがエキストラとして数多く登場している。「神成さん」や「小池さん」はもはや定着してしまっているが、星野スミレとバケルくんは準主役級の話もあるくらい重要度が高い。また、「21エモン」の先祖である18えもんや19えもんも登場したこともあった。この話では彼女はただ登場するだけで深く掘り下げられているわけではない。彼女が深く掘り下げられる話「めだちライトで人気者」に期待しよう。いち藤子ファンとしては星野スミレ登場話は印象深い。

本編は基本的には原作どおり進む。ただ、この話も高橋ナツコさんの脚本なので彼女の持ち味が出ているようだった。

冒頭で正座をして道具を整理しているドラは可愛らしく、わさびさん演じるかわいいドラも悪くないかも、と思った。

パスを手に入れたのび太がしずかちゃんをつれて喫茶店へ入る。ここでは店員さんとの身長差が比較的大きめに描かれており、「大人の場所」の雰囲気を醸し出していた。同様に「お冷」のコップも大きめに描かれていた。この「お冷」。小学生の頃は「お冷」なんて言葉は知らなかったため、原作を初めて読んだ当時は水だと分かっていてもとてつもなくおいしそうな飲み物に見えたものだった。とにかく、食べ物をおいしそうに(またはまずそうに)描くことに関して藤本先生の右に出る漫画家はいないと思う。そしてパチンコ屋にも入っていく。ここでも周囲の客との身長差が大きめに描かれており、威圧感と共に「大人の場所」の雰囲気を出していた。更にはキャバレーにも入ろうとするが、開店前のためしずかちゃんに止められてしまう。原作で読んだ時はバーのように見えたのだが、まさかキャバレーとして描くとはね。でも、こうした一連の「『大人の場所』への憧れ」の描き方としてはかなりのものだったと言えるのではないだろうか。美術館のくだりはしずかちゃんらしくて良い。

最後のオチも「驚音波発振機」の回と同じく再現が難しい。夜に2人でとぼとぼと歩くシーンを見せるだけでは、アニメでは尻つぼみのようになってしまう。原作でもかなりあっさりした終わり方になっているのでスタッフも苦労するところだが、とりあえず原作を忠実になぞることで事なきを得た、という感じだった。自分も結構楽しんでおきながら最後は責任をのび太一人に全部押し付けてしまうしずかちゃんは初期のお嬢様っぽく、これもまたしずかちゃんの一面を見せられているようで良かった。帰宅してドラに泣きつくようなシーンを入れなかったのは正解と言えるだろう。作品としては中盤の描写が良く出来ており、全体としてはまずまずの出来だった。

今回はミニシアターはなく、その時間は女子十二楽坊の宣伝に使われた。ナレーションをしているわさドラの声は大分落ち着いており、「こんにちは。ぼくドラえもんです。」の台詞も変な語尾上げがなくなっておりだんだんと役が掴めてきたという印象を受けた。

また、声優全体の演技も前と比べて上達しており、各キャラの特徴や自分らしい持ち味も出てきたようだった。かかずさんと関さんは馴染みつつあるし、木村君はだんだんジャイアンにはまりつつある。大原さんはやや鼻声になり、わさびさんは声のトーンを落とした。演技力や個性については不安要素もまだまだ多いが、それぞれのキャラクターに少しずつではあるが演技力がつき、個性が見えてきた。

今回はいつものように落ち着いて見られたので、来週も気分良く見られそうだ。来週の話は「タイムふろしき」と「タンポポ空を行く」の2本。タイムふろしきのドタバタぶりは見ものだ。スネ夫やジャイアンの「秘密」や古い電化製品の扱いも気になる。そして「タンポポ空を行く」は好きな方も多いと思われるが、私も5本の指に入るくらい好きな作品だ。ほのぼのとした情景とタンポポを通したのび太の成長がどのように描かれるのか楽しみだ。

5月5日付上毛新聞「テレ朝『ドラえもん』4年ぶり高視聴率」

少々ローカルな話題だが、私の住む群馬県の地元紙に、やっとこさ新ドラえもんの記事が載ったのでここに紹介したい。内容は、朝日新聞などのテレ朝系列紙に載った記事と大差はないと思う。

テレ朝「ドラえもん」4年ぶり高視聴率
「元気」「若返った」キャスト変え新鮮味


主要キャストの声優が入れ替わった人気アニメ「ドラえもん」(テレビ朝日)。新メンバーによる初回の視聴率は16.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、4年ぶりの16%台を記録。幸先のいいスタートに、テレビ朝日は「ありがたいの一言に尽きる」(広報部)と喜びを隠せないでいる。

広報部によると、視聴率は最近、12-13%台が続いていた。16.0%は2001年2月16日放送分の16.1%以来の数字。同局には、以前のキャストを惜しむ一方で、「雰囲気が変わり、元気な感じがした」「声が若返った」など好意的な意見が多く寄せられた。鮫島慎司広報部長は「原作のイメージに忠実にとのコンセプトに、同感してもらえたようだ。周知期間が十分あったことも幸いした」と胸をなで下ろしている。

「ドラえもん」と並ぶ人気長寿アニメ「サザエさん」(フジテレビ)も、4月から29年ぶりに交代した。制作会社のエイケンによると、ほとんどの視聴者が「びっくりした」という反応を示したという。

ただ、サザエさんやタラちゃんは初回から変わっておらず、「声優の交代は、下手をすると番組が終わりかねないのに、『ドラえもん』はよく思い切って全員代えられたな」(制作課)とテレビ朝日の”英断”に感心する。

これについて、鮫島部長は「全員代えたことで、かえって新鮮味が出た」と分析。「要は慣れの問題だと思う。あと2,3ヵ月もすれば落ち着くはずだが、それまでは気を抜けない」と慎重な態度を見せている。

上毛新聞 2005年5月5日(木)付 第25面(芸能)より引用



私はリニューアルを支持する者の一人としてこれからも応援していくつもりだが、この広報部長はネット上の意見をどれだけ目にしているのだろうか。テレ朝にはかなりの意見が寄せられたはずだ。引用した記事は公共の一般メディアだから基本的には好意的な内容しか載せない。だが、かなりの否定的意見が寄せられたことも容易に想像がつく。また、広報部という立場上、2chやファンサイト掲示板などのネット上の意見に目を向ける機会もあったはずだ。2chは粘着や荒らしを除いてしまえば比較的好意的な意見が多いが、その他のブログや掲示板では否定的な意見が目に付きやすいのではないか。そういうファンの声を無視するわけにはいかないのだろうが、どうかこれからも「原作重視」の姿勢は崩さないでいただきたい。それが「ドラえもん」という作品にとって一番大事なことなのだから。

恐竜博2005(上野・国立科学博物館)レポート

  • Posted by: Rainyblue
  • 2005-05-03 Tue 16:28:34
  • Events
去る5月1日、東京は上野公園内にある国立科学博物館で開催された「恐竜博2005」に行って来た。小さい頃から恐竜好きで、今もその興味は尽きることがない。今回は写真付で紹介してみようと思う。ただし、携帯電話(SH901iC)で撮影した写真なので多少不鮮明な部分はあるかもしれないがその点はご容赦いただきたい。

今回のテーマは「恐竜から鳥への進化」。今まで鳥から恐竜に進化したと言う学説が有力だったが、近年はそれを覆すような証拠が次々と発見されている。ここで説明しても長くなってしまうので(というか上手く説明できない・・・)、実際に会場まで足を運んでみてはいかがだろうか。目玉展示は本邦初公開のティラノサウルス「スー」の全身複製骨格。

群馬から電車を利用して上野まで向かう。帰省ラッシュだけあって上り電車はあまり込んでいない。上野駅に着くと、駅員が盛んに入場券の販売斡旋をしている。なんでも、会場で当日券を買うのに30分も待たされるらしい。と言うわけで駅の販売窓口で入場券を購入した。他にも、東京国立博物館の「ベルリンの至宝展」、国立西洋美術館の「Georges de La Tour展」、東京都美術館の「ART DECO展」、上野の森美術館の「天野嘉孝展」など様々な特別展のチケットが売られていた。

国立科学博物館(科博)に到着すると入場まで35分も待たされるらしい。ゴールデンウィーク中とはいえすごい込みようだ。科博の本館は現在工事中で新館のみの公開。新館は昨年11月に全面公開され、1階が特別展示用のスペースになっている。幕張メッセで行われる恐竜博よりも規模の面では小さいが、展示の質や解説の詳細度は科博の方が断然上であると思う。また、私にとっては千葉よりも上野の方が交通の面でも有利だ。

中に入っても結構込んでいた。では写真付で展示物を紹介。今回は珍しく写真撮影が許可されていた。

Majungatholus-s.jpg

▲マジュンンガトルス
時代:白亜紀後期
全長:6.1m
マダガスカルで最近見つかった中型の肉食恐竜。日本初公開。

Allosaurus-s.jpg

▲アロサウルス
時代:ジュラ紀後期
全長:7.1m
ジュラ紀に生息していた有名な肉食恐竜。産出地はアメリカ・ユタ州など。

Tarbosaurus-s.jpg

▲タルボサウルス
時代:白亜紀後期
全長:9.4m
ティラノサウルスの仲間で大型の肉食恐竜。産出地はモンゴル。

Scottie-s.jpg

▲ティラノサウルス「スコッティ」の頭骨化石
時代:白亜紀後期
産出地:カナダ・サスカチワン州
有名で大型のティラノサウルスの骨格のうちのひとつ。発見者の名前が付けられている。

Thomas-s.jpg

▲ティラノサウルス「トーマス」の頭骨化石
時代:白亜紀後期
産出地:アメリカ・モンタナ州
「スコッティ」と同じく有名な化石で、発見者の名前が付けられている。

Harpymimus-s.jpg

▲ハルピミムス
時代:白亜紀前期
全長:4.0m
ダチョウ恐竜として有名なオルニトミムスの仲間。現在では羽毛が生えていたとの説が有力。産出地はモンゴルなど。

Alxasaurus-s.jpg

▲アラシャサウルス
時代:白亜紀前期
全長:3.0m
分類が不明確で謎の多いテリジノサウルスの仲間。鍵爪が特徴。羽毛が生えている種類もいる。産出地は中国・内モンゴル自治区。

Tyrannosaurus_rex_sue-s.jpg

▲ティラノサウルス「スー」
時代:白亜紀後期
全長:12.8m
見つかった中では最大のティラノサウルスの全身複製骨格。発見者の名前が付けられている。1997年にアメリカ・シカゴのフィールド博物館が10億円の高値で落札したことは有名。

写真はないがごく最近発見された新種のティラノサウルスの仲間「ディロング」も展示。体長は小さいが羽毛も生えており、鳥への進化を示すと言われている貴重な個体。おそらく初期の段階でティラノサウルス類は鳥への道と巨大化への道に枝分かれして行ったのだろうと思う。

最後に公式カタログ(図録)と会場限定で海洋堂製作の骨格フィギュアと復元フィギュアを購入して帰宅。図録は値段の割には図版も多く、資料的価値が高く、知識も増えるのでおすすめ。

何億年も昔に、私たちの何倍も大きい巨大な生物がいたなんて・・・。恐竜の神秘はすごいね。

大変有意義な時間を過ごすことが出来たので、ぜひ皆様も恐竜博へ足を運んでみてはいかがだろうか。

<関連リンク>
国立科学博物館
恐竜博2005(科博公式ページ)
恐竜博2005(朝日新聞公式ページ)

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