青い空はポケットの中に - ドラえもん(原作)

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ドラミちゃんの日

12月2日は、ドラえもん……じゃなくって、ドラミちゃんの誕生日です。
ハッピーバースデイ、ドラミちゃん!

1週間ほど遅れてしまいましたが……。

ドラミ

今回は宣言通り、ドラミちゃんについて少しお話したいと思います。

最初に、よくご存知ない方のためにドラミちゃんの簡単なプロフィールを紹介します。

◆ドラミちゃんプロフィール◆
☆関係:ドラえもんの妹
☆役割:家庭科専門ロボット→ドラえもんのサポート的役割へ
☆身長:100.0cm
☆パワー:1万馬力
☆誕生日: 2114年12月2日
☆好きな食べ物:メロンパン
☆嫌いなもの:ゴキブリ
☆特技:歌と料理、家事全般
☆搭乗タイムマシン:チューリップ号

身体的特徴としてはドラえもんに似た体形で、色は製造時のドラえもんと同様に黄色です。ポケットにはチェック柄があしらってあり、しっぽは花柄模様になっています。使用する道具は「どこでもドア」に模様があるなどの細かい違いもあり、その多くが花柄をあしらった女の子らしいデザインとなっています。道具に関して補足すると、初期は家庭科専門ロボットという設定であり、ポケットから出す道具も料理や掃除といった家事に関する物ばかりでしたが、後にはドラえもん同様の様々な道具を出すようになっています。頭の後ろのリボンが「リボン型集音装置」と呼ばれる耳となっているというのは比較的有名な話のようです。また、ドラえもんの顔にはレーダーひげがありますが、ドラミちゃんは女の子なのでひげはなく、代わりにリボンがレーダー機能を兼ねています。

なぜロボットなのにドラえもんの妹なのかというと、ドラえもんと同じ缶のオイルを分け合って製造されたからです。しかし、上澄みの薄い部分をドラえもんに、下半分に沈殿していた濃くて良質な部分をドラミちゃんに使ったため、兄よりも妹のほうがかなり優秀という設定が出来上がりました。

体重の設定は流動的であり(まあレディに体重を聞くのは失礼だという話でもありますが)、私も完全には把握していなくて、 35kg→91kg→100kg→91kgとテレビの放送年代や出版物の発行年によって記述がまちまちでしたが、現在では91kgで統一されているようです。

以上は方倉陽二氏(かたくら・ようじ、漫画家で藤子・F・不二雄先生のチーフアシスタントを務めていた)が描いた『ドラえもん百科』という作品によるもので、藤子F先生がドラえもん本編で直接描いた設定ではないことに留意しておく必要があります。

1970~80年代のファンにとってこの方倉版『ドラえもん百科』の影響力は大きく、今現在ドラえもんや主要キャラクターの公式設定とされているものの大部分はこの、いわゆる「方倉設定」が由来だと言われています。その影響力は藤子F先生にまで及び、ドラミちゃんの搭乗タイムマシンである「チューリップ号」は、方倉版『ドラえもん百科』の出版後にドラえもん本編に”逆輸入”される形で描かれました。それ以降は、アニメや映画にも当然のごとく登場し、ドラミちゃんのタイムマシンといえばあの赤いチューリップの形っていうくらいファンに定着しています。私自身は完全に後追い世代というか、映画『2112年ドラえもん誕生』(1995年)以降の世代ですね。

ドラミちゃんは原作における性格の変遷が激しいキャラクターでもあります。今では真面目でしっかり者のキャラクターとして認知されているようです。ただし真面目すぎる面があり、道具に頼らずのび太に自分の力で物事を解決させようとする傾向があります。道具の使いこなし方も兄であるドラえもんよりも優れていることを示すエピソードが原作には多数存在します。登場初期はかなりのおてんばぶりで、1万馬力の怪力で暴れ回りドラえもんを力づくで押さえつけるなど、かなりの暴れん坊キャラクターとして描かれていました。詳しい方は『ドラえもん』連載最初期にごくわずかな期間だけ登場した「ガチャ子」という幻のアヒル型ロボットキャラを想起してみてください。そうすると、ドラミちゃんはもしかしてガチャ子と同系統のキャラクターとして描かれていたのではないかと思える節があります。その後連載が進むにつれ、後期にはしっかり者のお世話ロボットとして定着していくこととなります。

ところで、ドラミちゃんは藤子F先生が直接考えたキャラクターではないことをご存知でしょうか。そもそもドラミちゃんは、小学館の学習雑誌『小学4年生』のある読者がアイディアを小学館に送り、それが採用されたことで生み出されたキャラクターなんですよ。

ここでちょっと興味深い画像をご覧いただきたいと思います。

dorami-prototype.jpg

あれあれ、これはドラミちゃん?……でもなんか変!?

それでは、ドラミちゃん誕生の経緯を説明します。1973年2月、『小学四年生』(小学館の学習雑誌)3月号誌上で、「かわいいドラミちゃんがでます。よろしく!」とのび太により予告されます。このときはまだ妹であるとは設定されておらず、告知のカットではドラえもんがドラミちゃんに照れている素振りさえ見せており、上の画像のようにデザインも今とはかなり異なっています。もしかしたら当初はドラえもんのガールフレンド的キャラクターとして想定されていたのかもしれません。そして同年3月発売の『小学5年生』4月号掲載「ハイキングに出かけよう」でデビューを飾ります。このときにドラミちゃんは現在のデザインになりました。「ハイキングに出かけよう」は藤子不二雄ランド第2巻(中央公論社)収録ですが、残念ながら現在では入手困難です。

※Wikipediaでは、「ドラ美」なる表記がなされていますが、上の画像以前にも告知があったんでしょうか。ちょっとそこまではわかりません。

さて、ドラミちゃんはジャイ子と同じく、キャラクターの性格や『ドラえもん』の物語における立場・役割が連載時期によって大幅に異なっています。ドラミちゃんのキャラクターとしての立ち位置は、『ドラえもん』とは別の作品である『ドラミちゃん』に登場していた時期と『ドラえもん』本編に統合されて以降、そして再登場後の3つの時期に分けることができると思います。

◆『ドラミちゃん』時代◆
ドラミちゃんはデビュー当初『ドラえもん』本編に登場した回数はごくわずかで、それ以降は『ドラえもん』の外伝的作品、今風に言うとスピンオフ作品である『ドラミちゃん』(『小学館BOOK)』『小学生ブック』連載)の主人公として活躍することになります。この作品は、ドラミちゃんがのび太の遠い親戚であるのび太郎の家に居候し、彼の面倒を見るという物語でした。第1話「じゅん番入れかわりき」は、ドラミちゃんがドラえもんの手伝いに現代の野比家へやって来たものの、偶然にも町中でのび太郎に出会い、彼の世話をすることになるというエピソードで、作中ではのび太とのび太郎が共演しています。残念ながら第1話「じゅん番入れかわりき」は後述する理由で現在では極めて入手困難となっています。

『ドラミちゃん』はメインキャラクターも『ドラえもん』のレギュラーメンバーとは異なり、しずかちゃん的美少女キャラは「みよちゃん」、ジャイアン的ガキ大将キャラは「カバ田」、スネ夫的キザ&嫌味キャラは「木鳥高夫(ズル木)」という配役でした。のび太郎のママの名前は「野比のぶ子」で、彼らはみな藤子F漫画の王道パターンを踏襲しているものの、『ドラえもん』のレギュラーメンバーとは似て非なるキャラクターだったのです。

【参考】『小学館BOOK』『小学生ブック』掲載順と初出タイトル
・『小学館BOOK』掲載作品
1. 1974年01月号「じゅん番入れかわりき」
2. 1974年02月号「のび太郎テレビ出えん」
3. 1974年03月号「ふしぎなドア」
・『小学生ブック』掲載作品
4. 1974年05月号「ふしぎなキャンデー」
5. 1974年06月号「ここほれワイヤー」
6 .1974年07月号「海底ハイキング」
7. 1974年08月号「公園のネッシー」
8. 1974年09月号「とう明人間」

◆『ドラえもん』本編に統合へ◆
『ドラミちゃん』の連載エピソードは、第1話「じゅん番入れかわりき」を除いた7話全てが『ドラえもん』の単行本に収録されています。上記のような設定の『ドラミちゃん』が『ドラえもん』本編の単行本であるてんとう虫コミックスに収録されるにあたって、『ドラえもん』の設定と辻褄を合わせるため、レギュラーメンバーの名前や顔が大きく描き換えられることになりました。

例えば…

・のび太郎→のび太
・みよちゃん→しずちゃん
・カバ田→ジャイアン
・野比のぶ子→野比玉子


といった具合です。しかし、木鳥高夫(ズル木)はスネ夫に変更されることなく”木鳥高夫”のまま単行本に収録されています。おそらく、チビのスネ夫に対しズル木は普通の身長なので、身体全体の描き換えは困難と判断されたためでしょう。ちなみにスネ夫が全く登場しないわけではなく、「ウラシマキャンデー(ドラミちゃん)」(てんとう虫コミックス第9巻収録)というエピソードの中では、端役の少年の顔がスネ夫に描き換えられています。あと、のび太郎のパパの顔がのび太のパパの顔に描き直されています。ちなみに、のび太郎についてはのび太そっくりだったので名前だけが変えられました。

したがって、第1話で、のび太郎とのび太が共演し、『ドラミちゃん』が『ドラえもん』とは全くの別作品であることを示すエピソードであり修正の効かない第1話「じゅん番入れかわりき」は単行本未収録となってしまったわけです。

てんとう虫コミックスの古い版では、修正ミスによって「みよちゃん」「カバ田」「野比のぶ子」といった名前が残っている箇所があります。のび太がしずかちゃんのことを「みよちゃん」と呼んだり、ジャイアンのことを「カバ田」と言ったりする(のび太がジャイアンの家の前で「まちがえた。これはカバ田の家だっけ。」と言っているコマがあるが、現在の版では修正済み)ので、古い版をお持ちの方は疑問に思った方も多いようです。私が所持している版は比較的新しいので全て修正済みです。

「カバ田」の修正ミスは比較的最近まで直されなかったようです。ちなみに、このコマが興味深いのはジャイアン(カバ田)の家が普通の洋風一戸建て住宅になっているということです。ジャイアンの家、つまり剛田家といえばボロい和風建築で雑貨屋(乾物屋や八百屋の場合もあり)を営んでいるはずですが、このコマを見るとこのエピソードの初出が別の作品であることが何となくおわかりいただけると思います。それ以外でも家屋や家具といった部分の修正までは難しかったようで、現在の版においても、のび太の部屋にベッドがあったり、野比家の門構えが妙に豪華だったりといった微妙な違いは残っています。

また、セリフや行動から読み取れるキャラクターの性格、それに家族関係も、この2作品の違いをおぼろげながら浮き立たせる結果となっています。例えば、のび太がやたらと研究熱心だったり、のび太の家族も彼に非常に好意的でなおかつ積極的に家族で旅行に出掛けたりするなど、野比家のキャラクターのあり方とは明らかに異なっています。また、ドラミちゃんはのび太郎のことを連載時は「のびちゃん」と呼びかけていましたが、単行本収録後はのび太に対して「のび太さん」と呼ぶように変更され、ドラミちゃんがのび太を呼ぶときは「のび太さん」であることは現在まで漫画・アニメ問わず一貫しています。つまり、後述するドラミちゃんの立場の変遷により、のび太(のび太郎)の家に居候し彼と寝食を共にしているキャラクターからゲストキャラクター的扱いへと、ドラミちゃんとのび太の関係が変わっていくことにあたって、このような他人行儀の呼び方に変更されたわけです。ちなみにドラえもんはのび太のことを、アニメでは大山ドラ・わさドラ共に「のび太くん」と呼ぶことで統一されていますが、原作でも基本的には「のび太くん」であるものの「のび太」と呼び捨てにする場合も非常に多く(特に連載後期)、原作におけるキャラクターの関係というものを読者に提示してくれています。

小学館の学習雑誌(学年誌)での連載がメインだった『ドラえもん』とは違い、『ドラミちゃん』はメインの連載誌である『小学館BOOK』『小学生ブック』の主たる読者層である小学校高学年を意識した描き方がなされ、今読んでも非常に読みごたえのある内容となっています。『ドラえもん』のエピソードでも『週刊少年サンデー増刊』に掲載された「のび太の恐竜」「ゆうれい城へ引っこし」などには同様の傾向が見られます。例えば「ネッシーが来る」(てんとう虫コミックス第6巻収録)は、緻密な描き込みと迫力あるストーリー構成で、このエピソードが小学校高学年~中学生程度を読者に想定して描かれたことは明白です。その他のエピソードも、まだドタバタギャグの色彩が強かった『ドラえもん』初期の各話と比べて、科学的知識を惜しげもなく散りばめ、山奥村・地底・海底といった場所へ冒険に出かけるなど、読みごたえやスケール感のある作品が多いのが特徴です。これらはみな初期の単行本に収録されたため、単行本の各話を順番に読んでいくと明らかに浮いた印象さえ読者に与えることがあります。

『ドラミちゃん』は、『小学館BOOK』『小学生ブック』で1974年1月号~9月号(4月号は休載)まで連載され、全8話が描かれました。てんとう虫コミックス『ドラえもん』には第1話を除く7話全てが収録されています。『ドラミちゃん』として描かれた7話は以下の通りです。タイトル表記は全ててんとう虫コミックス版に準拠しています。

【参考】てんとう虫コミックス『ドラえもん』掲載順と各話タイトル
1. 「海底ハイキング」(てんとう虫コミックス第4巻)
2. 「地底の国探検」(同5巻)
3. 「ネッシーが来る」(同6巻)
4. 「山おく村の怪事件」(同7巻)
5. 「とう明人間目ぐすり」(同8巻)
6. 「ウラシマキャンデー(ドラミちゃん)」(同9巻)
7. 「テレビ局をはじめたよ(ドラミちゃん)」(同11巻)

『ドラミちゃん』連載話はどのエピソードも非常に面白いので、読んだことがない方はこの機会に読んでみてはいかがでしょうか?

◆沈黙、そして突然の再登場◆
『ドラえもん』のスピンオフ作品『ドラミちゃん』の連載が終了してから約5年間、ドラミちゃんは『ドラえもん』本編から突如として姿を消し、沈黙状態が続きます。

そして沈黙を破り、ドラミちゃんは突如として『ドラえもん』本編に返り咲きます。そのドラミちゃん再登場エピソードで『ドラえもん』の原作後期におけるキャラクターのあり方を確認できる非常に重要なエピソードが1979年に掲載された「ドラえもんとドラミちゃん」(小学館コロコロ文庫「ドラえもん」ドラミ編収録)です。これは出木杉の初登場エピソードでもあり、私はここから『ドラえもん』の原作後期がスタートしたと勝手に考えています。

このエピソードでドラミちゃんは普段は22世紀(2125年)のセワシの家に居住し、たまにゲストキャラクターとして、あるいはのび太のピンチヒッターとして『ドラえもん』本編に登場するというキャラクターの立場が明確になります。この再登場によって、そして出木杉というキャラクターの登場によって、ドラえもんとのび太の関係、のび太としずかちゃんの関係がメタ的に揺るがされ、そして再確認されることになっていくのです。

ドラミちゃんの再登場によって、ドラえもんは果たしてのび太の良きパートナーか、のび太はドラえもんという存在によって堕落していないかということが自己批判的に言及されます。それ以降のドラミちゃん登場エピソードはドラえもんとのび太の関係を再確認する内容である場合が多くなっていきます。そして、しずかちゃんとの結婚が「のび太のおよめさん」(てんとう虫コミックス第6巻収録)で確定したはずの、のび太の未来も出木杉という存在によって揺るがされていくことになります。

ドラミちゃんの再登場は、『ドラえもん』の原作後期におけるマンネリ化を打破する起爆剤となりました。藤子F先生はそのような目的でドラミちゃんを新たなキャラクターとして再び活躍させることを決断なさったのではないでしょうか。

◆アニメのことについても少しだけ...◆
アニメでのドラミちゃんの声は、大山ドラでは声優のよこざわけい子さん、わさドラではタレントの千秋さんが務めています。

よこざわさんの声はドラミちゃんの聡明で利口な性格の印象を創出し、視聴者に定着させるのに一役買いました。私もとても好きな声です。

千秋さんの演技は初登場時には不安が残るものでしたが、現在では演技力も向上し、安心して見られるようになりつつあります。特筆すべきはドラえもんが大山さんとは異なるテイストの声に変更されたのに対し、ドラミちゃんの声はよこざわさんのテイストをそのまま踏襲した声になったということです。よこざわさんと千秋さんの声は似通っており、ドラミちゃんのキャラクター作りにおけるよこざわさんの影響力が予想以上に大きかったことを物語っています。

12月5日(金)のアニメドラえもん(わさドラ)はドラミ誕生日スペシャルとして「ドラミの最悪の一日」と「世界一のメロンパン」というオリジナルエピソードが2話放送されました。ベタな展開ではあるものの無難な脚本と演出だったので、詳細は割愛します。ちなみに、「世界一のメロンパン」ではスタッフの遊び心として、『ドラえもん』に登場したゲストキャラがモブキャラとして行列の中に確認できたという記述がいくつかのブログ記事で散見されました。もっと目を凝らして見ておけば良かったかも。

あと、テレビ朝日の『ドラえもん』公式ページは今ドラミちゃん特集で、ドラミちゃん風のかわいらしいデザインへとがらりと変わっています。おそらく特集は今週中までだと思うので今のうちに見ておいたほうがいいと思いますよ。

・テレビ朝日|ドラえもん

以上、ドラミちゃんについてちょっとだけ語ってみました。

12月と聞いて忘れてはならないのは、12月1日はドラえもんの原作者である藤子・F・不二雄先生のお誕生日であるということです。現在もご健在ならば75歳になられているはずです。下界から天国の藤子・F・不二雄先生へ、いちファンとして「お誕生日おめでとうございます」と言わせていただきたいと思います。12月2日をドラミちゃんの誕生日に設定した方倉氏は、彼なりの藤子F先生に対する尊敬の念の表れだったのかもしれませんね。

【参考サイト】
・藤子不二雄ファンはここにいる/koikesanの日記
・ドラちゃんのおへや
・からつぶ - 藤子・F・不二雄作品データベース

【同一記事】
・青い空はポケットの中に - ドラミちゃんの日

ハッピーバースデイ・ジャイアン

1日ずれてしまったけれど、本日6月15日はジャイアンこと剛田武の誕生日です。ハッピーバースデイ、ジャイアン!!

ジャイアンといえば、ガキ大将、乱暴者、ピンチの時には力を発揮する、映画の時だけいい奴になる、とかそんなイメージだと思います。そうした見方はもちろん正しいですし、それらがジャイアンというキャラクターの魅力とも言えましょう。

しかし、私は「表情豊かなキャラクター」としてのジャイアンに魅力を感じます。ドラえもん関連雑誌でジャイアン特集が組まれた際も同じようなことが述べられていましたが、ジャイアンは実に表情豊かなキャラクターです。もちろん、ドラえもんやのび太、スネ夫といった主要キャラクターも大変表情豊かなキャラクターではありますが、ことジャイアンの表情の豊かさにはかなわないでしょう。

ジャイアンは喜怒哀楽や、それらの4つの感情に含まれない微妙な感情まで私たちに見せてくれます。それはやはりジャイアンの感情の起伏の激しさ、気性の荒さに起因しているものと思われます。

例えば、てんとう虫コミックス第39巻の「ぬけ穴ボールペン」という作品におけるジャイアンの表情が私は特に気に入っています。後に「変ドラ」というサイトで私が思っていたこととほとんど同じことが言及されていて驚いた記憶があります。その作品では、のび太に機嫌を尋ねるジャイアンの屈託のない表情、そして直後の怒りが爆発した表情が、私が最も気に入っているジャイアンの表情のひとつです。この他にもコミックスを読み返せばもっと素敵な表情のジャイアンが見つかると思うのですが、残念ながら今手元にコミックスがないので確認できません。

漫画、とりわけギャグ漫画においては、表情の豊かなキャラクターは必要不可欠です。表情豊かなキャラクターの存在は、その漫画作品の魅力をより一層引き立てます。「ドラえもん」や藤子F作品から強い影響を受けている「ケロロ軍曹」の作者である吉崎観音氏は、「ケロロ軍曹は無表情なので、タママ二等兵はあえて表情の振れ幅を大きくしている。」といった主旨のことを述べています。確かに、無表情がその魅力であるケロロとは対照的に、二重人格という設定のタママは極めて表情豊かなキャラクターとなっています。このように、「ドラえもん」においてもジャイアンが表情豊かなキャラクターの一翼を担っているものと私は考えます。

また、「ジャイアニズム」という言葉を世間に浸透させるまでに至った、ジャイアンの思想・哲学も無視することはできません。mixiにも「ジャイアニズム研究」というコミュニティがあり、多数の参加者がいます。「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの」という有名なフレーズは、ジャイアンの行動様式のすべてを体現していると言っても過言ではではないでしょう。以前「トリビアの泉」という番組で、ジャイアンの上記のフレーズは、イギリスの諺が由来であるといった主旨の放送が行われたことがあります。番組中ではF先生に関する言及はありませんでしたが、F先生がどうやってこの言葉を思いついたのかは、私には分かりません。

その他にも、「さからうものは死けい!アハハ。いい気もちだ。」「これだけあれば、世界をせいふくできるかもな・・・」「ほしいものは手に入れるのがおれのやりかたさ。」「いつ返さなかった?えいきゅうにかりておくだけだぞ。」など、ジャイアンの名言を挙げれば枚挙に暇がありません。

もうひとつ、ジャイアンはオレンジ色に横線1本や、ジグザグ模様で知られる独特の衣装でも知られます。アニメ版の影響でそうした固定的な衣装に目が行きがちですが、コミックスをひも解けば、ジャイアンは実に多彩な衣装を私たちに披露してくれます。恐らく、当時のF先生のアシスタントの趣味・嗜好と、体の表面積が大きいので自由に服の模様をデザインできるという2つの要素が大きく関係しているのだろうと思われます。有名なところでは、一時期ジャイアンの服の模様に「L・Z」や「Led・Zep」という文字が書かれていたことがあります。ジャイアンがハードロック好きであったかどうかは定かではありませんが(コミックスを読めば、むしろジャイアンは演歌・歌謡曲志向であることが分かります)、これは当時のアシスタントがレッド・ツェッペリンの大ファンであったからだと言われています。そんなジャイアンも、わさドラでは少しずつ、現代的な衣装にチェンジしていくそうです。今日の放送はまだ見ていませんが、ちらっと見た限りではジャイアンがボタン付きの服を着ていました。これからジャイアンがどんな服装になるのか、心配でもあり楽しみでもあります。先日のサークルのライブでは、ドラえもんファンの先輩が、手編みのジャイアンセーターを着てステージに立って演奏していました。私はそれを見て感激したのを覚えています。

思いつくままに書いてみましたが、ジャイアンというキャラクターは、こんな短い文章では書ききれないくらい魅力的な人物です。「ジャイアンについてもっと知りたい!」と思った方々はぜひコミックスを読んでみることをお勧めします。今日は夜も遅いのでこれで。さてさて、1か月分のわさドラ録画分を見なくては・・・。

「ドラえもん プラス」第2巻 「もっと!ドラえもん」No.2発売

20日は、てんとう虫コミックス「ドラえもん プラス」第2巻と、雑誌「もっと!ドラえもん」No.2の発売日だったが、所用で20日に書店に立ち寄れなかったため、翌日に書店へ足を運んで購入した。1巻の時には実感が湧かなかったのだが、こうしてリアルタイムでドラえもんの新刊の発売に立ち会えるというのは私にとっては大変喜ばしいことだと思っている。

トップページにフラッシュ時計を設置してみた。検索してみると、無料でデザインの優れた時計がたくさん見つかった。その中から「狂時機(マッド・ウォッチ)」風の針の付いた時計を採用した。

◆「もっと!ドラえもん」No.2

小学館刊・1380円

書店で表紙を見たとき、「今号はジャイアン特集なのにしずかちゃんのお洒落な表紙とはこれ如何に!?」と驚いてしまったが、表紙(正確に言うと梱包用の表紙)をめくるとタネが分かって一安心。

まず目を引くのが、ジャイアン役の木村昴君の写真付きインタビュー。テレビで見たときは良く分からなかったのだが、写真を通して見てみるとけっこう濃い顔をしている。やはりハーフなのだと実感。生徒会副会長らしく、利発そうな印象を受けた。しかも彼は私よりも3歳年下だというのだから面食らってしまう。彼の今後に期待したい。

2006年3月に公開される映画「のび太の恐竜2006」の作画監督を務める小西賢一氏のインタビュー。彼は「ワンニャン時空伝」の時から参加しているそうだが、何とスタジオジブリ出身で、「ホーホケキョ となりの山田くん」の作画監督を務めていたそうだ。ラフスケッチを見てみると、わさドラの大まかなデザインは踏襲しつつも、彼なりのアレンジが結構含まれている。彼の言う「リアルな動き」とはどのようなものなのかが気になるところだ。また、恐竜ハンターのラフデザインも初公開。原作とも大山ドラ版とも一味違う。変に子供っぽくすることなく怖そうなイメージで描いてくれたのは嬉しい。どことなく宮崎アニメを髣髴とさせる。そういえば、宮崎駿氏は映画ドラえもんの監督をやってみたいと話していたことがあるそうだから、彼には一定の信頼を置いても良いだろう。総監督は本編と同じ楠葉宏三氏。監督は渡辺歩氏である。渡辺氏に関しては、アニメーターとしての資質を私は評価しているのだが、たびたび「暴走」してしまうという悪癖も併せ持つ。そこは総監督の楠葉氏と上手く折り合ってバランスをとってもらいたい。

今号も文化批評家の切通理作氏の文章が掲載されている。藤本先生の<童心>と、土管のある空き地、及びジャイアンという存在に対する考察を、時代背景や藤本先生の作品や発言を交えながら述べている。彼の文章は理知的でかつ分かりやすく、藤子作品に対する深い知識と理解が感じられる。ぜひ一読を勧めたい。

特集はジャイアン。原作の様々な場面を引っ張り出しながらジャイアンという人物を面白おかしく考察している。特に気に入ったのは「ジャイアンのファッションチェック」。ジャイアンの様々な服装を一堂に会してまとめている。ジャイアンは服の面積が大きくて模様が描きやすいのだろうか、実に様々な模様が描かれている。いつものストライプや波線の模様はもちろん、結構お洒落な模様があったり、"L・Z", "Led・Zepp"など、Led Zeppelin(1970年代に活躍した英国のハード・ロックバンド)のファンだったという当時のアシスタントが描いたと思しき模様まである。

付録はのび太のフィギュアとタイムマシンの下部分。フィギュアの造りは良好だと思うが、今号も化粧箱が馬鹿でかい。

未収録カラー名作選では、2ちゃんねるのAAで有名な「きみは じつに バカだな。」の元ネタである「ウルトラスーパー電池」がカラーで掲載。ドラの背中を開けて平然と電池を入れようとするのび太に更なる驚き。もう一本は「さいみんふりこ」。操られている時の白くなった目がブラックな雰囲気。短いながらも上手くまとめられた良作であると思う。No.3は9月3日頃発売。

◆てんとう虫コミックス「ドラえもん プラス」第2巻

小学館刊・限定版キーホルダー付き500円、通常版390円

この日を心待ちにしていた。1巻の発売時はアニメドラのリニューアルのことで頭が一杯で、気付いた時には「カラー作品集」第5巻と共に既に書店で売られていたのだが、今回は発売日の翌日ではあるがその喜びを噛みしめることができた。金銭の余裕がないので限定版のみ購入。私がドラえもんの原作を読み始めたのが1998年頃だったので、既に45巻は発売済みで、私はリアルタイムで藤本先生の描いたてんコミ版ドラえもんの発売に立ち会ったことはない。そして9年ぶりにドラえもんの最新刊が発売された。私にとって、リアルタイムでドラえもんの新刊の発売に立ち会えるのはこの上なく喜ばしいことなのだと思う。収録作品は次の通り。

1.「変心うちわ」
2.「バッジどろぼう」
3.「ゾクゾク線香」
4.「身代わりテレビ」
5.「ドロン巻き物」
6.「なぐられたってへっちゃらだい」
7.「光ファイバーつた」
8.「いやな目メーター」
9.「地球脱出計画」
10.「命れいじゅう」
11.「ユメかんとくいす」
12.「全体復元液」
13.「スーパージャイアン」
14.「夢中機を探せ」
15.「呼びつけブザー」
16.「大きくなってジャイアンをやっつけろ」
17.「月給騒動」
18.「人間プログラミングぼくろ」
19.「ピンチランナー」
20.「ペットペン」
21.「タイムピストルで〝じゃま物〟は消せ」


この中で、刊行中の雑誌(初出誌を除く)を含む完全な単行本初収録作品は4, 12, 18, 19, 21の5作品。他にも、「藤子不二雄ランド」収録作品や「ぼくドラ」の付録収録作品、「コロコロイチバン」掲載作品、「コロコロ文庫スネ夫編」収録作品などが収録されている。「ユメかんとくいす」が収録されたおかげで私が持っている「文庫スネ夫編」の存在価値は薄められてしまったが、こうなれば「文庫ドラミ編」収録作品である「ドラえもんとドラミちゃん」も収録してもらっても良い。まだ数作品しか読んでいないが、「変心うちわ」のはっきりと"Before and After"を対比させたコマ割りや、大山ドラで好きな作品だった「スーパージャイアン」、個人的に思い入れの強い最後期作品の中でも特に異色な「タイムピストルで〝じゃま物〟は消せ」など、目を見張るべき作品が目白押しだ。1~45巻では見られなかったドラの仕草や表情が見られるのもまた面白い。第3巻は9月発売予定。

新雑誌「もっと、ドラえもん」創刊

「ぼく、ドラえもん」の後継雑誌として小学館より「もっと、ドラえもん」が創刊された。発売当日に近所の書店で購入した。でも、どうやら前日から売っていたらしい・・・。「ぼくドラ」と同じように定期購読を申し込めば良かったのだが、「ぼくドラ」定期購読終了後に小学館から送られてきた定期購読の案内が「早よ申し込まんかい、ヴォケ!!」と言わんばかりとは言いすぎだが、少々ぶっきらぼうな書き方だったので、申し込むのをいささか躊躇していた。実際の内容は年5回刊、1380円というだけあってなかなか充実していた。これなら後4回は定期購読を申し込んでも良さそう。

実際の内容を手短にレビュー。

◆付録(フィギュア)
この雑誌の目玉なのだろう。全5回分を集めるとドラ・のび・しず・ジャイ・スネの5人が乗ったタイムマシンのフィギュアが完成すると言うもの。そのせいで化粧箱がかなり厚くなってしまっている。この付録には余り興味を示していなかったのだが、質感や仕上がりは良好。今回はドラえもんとタイムマシンのコックピットだ。基本的な造形は新アニメ版に準拠している。ドラの唇のふくらみや、タイムマシンの計器類もちゃんと再現されている。読者の収集欲を露骨にくすぐろうとしているようだが、この仕上がりなら満足できるレベル。完成写真を見る限りいわゆる「スネ夫の立体化」には苦労した模様。「ぼくドラ」1号のDVDのような貴重な付録がなかったのは残念だが。

◆本誌レビュー
・新生アニメドラの舞台裏の特集は声優陣や監督のインタビュー。特に目新しいことは言っていないが、友達に徹したいわさびさんの思いが伝わってきた。今回は原作を基準に声を選んだわけだから、本来のドラらしい友達としてのドラを演じてくれたらと思う。

・2006年公開の映画「のび太の恐竜2006」の特集では、恐竜好きの渡辺歩監督が「恐竜博2005」を見に行ったり、制作陣で恐竜の勉強会を開いて最新の学説を取り入れようとしていることなど、かなりの力の入れようだ。私の勝手な想像だが、もし藤本先生が「のび太の恐竜」をリメイクすることになったとしたら、やはり恐竜は最新学説のものを取り入れてくるだろうと思う。藤本先生は化石を収集されていたりとかなりの恐竜好き。元祖「のび太の恐竜」執筆・制作の際も当時の最新学説を研究して実際に取り入れていた。私も小さい頃から恐竜が好きで、今でもその興味は尽きない。だから新しい映画がどのようになるのか、楽しみに待ちたい。私も「恐竜博2005」をゴールデンウィーク中に見に行く予定。

・新生アニメ版の美術設定の特集は非常に興味深く、見ていて飽きない内容だった。美術監督は清水としゆき氏。ここで出木杉の設定画が初公開。前よりイケメンになっている。見比べてみると今回の出木杉の方が明らかに原作に近いが、前の出木杉と比較してみると前の出木杉はかなりシンエイ動画被れした作画だったと感じた。ジャイアンの家は「剛田商店」になり、懐かしい個人商店の雰囲気が良く出ていた。原作では剛田家の家業は乾物屋だったり八百屋だったりと余りはっきりとしていないので苦労する部分だが、上手く出来ていたように思う。時代設定のイメージは15~20年前くらいだという。現代的な衣を着けながらも懐かしい町並みの雰囲気は残すというFテイストがどこまで再現できるか、見物である。

・のび太特集は「ぼくドラ」と内容が被っている部分も多く、目新しいことなし。芸能人インタビューは、「のび太に共感できる」という人は良かったのだが、何か鼻に付く書き方をしている人もいた。

・切通理作氏のエッセイは、ドラえもんという作品を本当に良く理解していると感じ取れる文章で好感が持てた。また、幻の日テレ版ドラにも言及しており(全話見たというのがすごい)、目からうろこの内容であった。確かに学級委員選挙で買収行為をするようなのび太の話なんて、誰も見たいとは思わないのかも。実際の内容も妙に陰気でダークな雰囲気だったらしいし、今でこそ私を含めドラファンの強烈な興味関心の対象となっている日テレ版ドラも、やはり不評だったのだろう。

全部書いてもしようがないので、ぜひ書店に立ち寄って実際に手にとって見てはいかがだろうか。

雑誌「ぼく、ドラえもん。」全25号をコンプリート

小学館から月2回のペースで刊行された雑誌「ぼく、ドラえもん。」の定期購読が終了した。私は未収録作品集のために買ったようなものなので、付録や特集にはあまり興味はなかったのだが、ごく薄い中にも藤本先生の特集や原作ネタが入っていたこともあった。雑誌自体は薄いので毎月2回650円を払うのは少々きついと考える人もおられたかもしれない。私は早々に定期購読を申し込んだのだが、毎月2回本屋に足を運んでいたら買うのをためらっていたかも知れない。私のケチな性分が邪魔したのか、ただ面倒くさかっただけなのかは分からないが、付録はすべて未組立のままである。付録の未収録作品に関しては、いずれ「ドラえもん プラス」で補完されるだろうから、大した価値はなくなるかもしれない。全部本棚に並べてみたのだが、特に悪い買い物をしたという気は起きなかった。

その後、小学館から「ぼくドラ」の後継誌である「もっと!ドラえもん」の定期購読案内が送られてきた。こちらは年5回の刊行で、雑誌の内容も他の藤子作品にまで手を広げたり、アニメの舞台裏を特集したりと100ページ以上のボリュームがあるらしい。また、毎号フィギュアが付録として付く。といっても、文章の内容は「早く定期購読を申し込め」と言わんばかりのぶっきらぼうな文章であったし、定期購読者特典も「ドラ手ぬぐいが安く買える」くらいなものである。ちょっと出版社としてこの態度はどうかな・・・と憂慮せざるを得なかった。「ぼくドラ」の定期購読者特典の「ドラ湯のみ」は大変気に入った品であるだけに、少々残念である。確かにドラ&藤子ファンとしては無条件に申し込んでしまうのだが、せっかく未収録作品の刊行など良い兆しを見せ始めてきた小学館なのだから、ファンを弄ぶということだけは絶対にやめて欲しい。

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